研究課題
マイクロ波力学インダクタンス共振回路(MKID)を用いた観測周波数90-100GHzの超伝導電波カメラの改良を行い、野辺山45m電波望遠鏡に搭載して実際の観測に供することのできる連続波電波カメラの開発を行った。前年度までに開発した109素子の電波カメラを実験室で評価したあと、45m電波望遠鏡に搭載してカメラ素子を0.1K以下に冷却し、惑星等を観測して性能測定を行った。素子の歩留まりは82%であった。きれいな合成ビームが得られ、サイドローブレベルは-10dB以下であった。主ビームの大きさ(HPBW)は17.7"と設計値に近い値が得られ、ゲインの安定性は10Hz以下であった。火星と金星の観測から主ビーム能率は33%、開口能率は23%と測定された。感度は雑音等価フラックス密度としてNEFD=2.94[Jy/root(Hz)]となり、目標よりも悪かった。データ取得システムの改良と新機能の追加も行った。データを制御ワークステーションに直接保存することによるQuick-LOOKの提供、素子数増加による処理時間の増加を分割処理と速度最適化により解析時間の短縮を図り、R-Sky用チョッパー回転を利用することにより時刻同期の高精度化を行った。また使用可能な約90素子の同期的な時間変動を差し引くことによって大気雑音を大きく取り除くことができた。その後45m鏡から降ろし実験室にて性能向上のため、さらに改良を行った。特に、感度を向上させるため、①カメラの入り口の直径300mmと154mmのシリコンレンズに反射防止構造を施し、入力電波の反射を大幅に減少させた。②MKIDとしてこれまでのアルミニウム(Al)一層ではなくグランド層に窒化ニオブチタン(NbTiN)を用いたハイブリッド構造のものを開発した。これによって感度を向上させることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Low Temperature Physics
巻: 193 ページ: 976-983
10.1007/s10909-018-2047-4
Journal of Low Temperature Physics,
巻: 193 ページ: 585-592
10.1007/s10909-018-1961-9