研究課題/領域番号 |
26247027
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
内山 泰伸 立教大学, 理学部, 准教授 (00435801)
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研究分担者 |
小高 裕和 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (50610820) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高エネルギー天文学 / 宇宙線 / 粒子加速 / パルサー星雲 / 超新星残骸 |
研究実績の概要 |
大気チェレンコフ望遠鏡H.E.S.S.による地上からの超高エネルギーガンマ線観測と、フェルミ衛星による全天GeVガンマ線サーベイ観測により、高エネルギー粒子加速メカニズムの解明を進めている。また、粒子加速現象を包括的に理解することを目指して、X線衛星による天体観測をガンマ線観測と組み合わせ、多波長観測を推進している。また、将来的にH.E.S.S.望遠鏡光検出器を改良することを目指した基礎研究として、高い量子効率を持つスーパーバイアルカリ光電子増倍菅の特性評価を進めている。
本年度はガンマ線放射が卓越している2つの超新星残骸(RXJ1713.7-3946, Vela Jr)における粒子加速の研究を進めた。特に超新星残骸RXJ1713.7-3946のH.E.S.S.望遠鏡による長時間観測とX線観測を組み合わせる国際共同研究を推進した。また、超新星残骸Vela Jrのフェルミ衛星による観測データの解析を進め、米国でのフェルミコラボレーション会議において報告した(Arakawa, Katsuta, Fukuyama, Uchiyama 2016, SLAC国立加速器研究所)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H.E.S.S. コラボレーションにおける国際共同研究は、多国にわたる参加研究機関で望遠鏡の運用方針を議論する必要があるが、当初の想定よりも議論が遅れ、その結果としてH.E.S.S.望遠鏡による研究はやや遅れている。一方、フェルミ衛星による観測的研究は、本研究課題で設定していた目標よりも良い成果が出ている。総合的に「やや遅れている」と自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
銀河系外のパルサー星雲からのGeVガンマ線の初検出となった観測結果を、パルサー星雲における磁気再結合による高エネルギー電子加速の理論と照合し、平成28年度中に論文としてまとめる予定である。
ガンマ線放射が卓越している超新星残骸 Vela Jrにおける粒子加速の研究を進めるため、フェルミ衛星による観測データの解析を本研究グループを中心にして進める。その結果をH.E.S.S.コラボレーションによる国際共同研究として進めているTeVガンマ線のデータ解析の結果と組み合わせることで、ガンマ線の放射メカニズムについて詳細に検討する。超新星残骸RXJ1713.7-3946のH.E.S.S.望遠鏡による長時間観測とX線観測を組み合わせる共同研究を進め、平成28年度中に論文を投稿する予定である。また、超新星残骸RXJ1713.7-3946のチャンドラ衛星によるX線観測の結果と超新星残骸進化モデルを用いて詳細に検討し、この超新星残骸の進化状態について報告する論文を平成28年度中に投稿する予定である。NuSTAR衛星搭載の硬X線イメージャによる超新星残骸RXJ1713.7-3946の観測データを解析し、広帯域シンクロトロン放射スペクトルを空間分解して測定する。
また、将来的にH.E.S.S.望遠鏡光検出器を改良することを目指した基礎研究として、高い量子効率を持つスーパーバイアルカリ光電子増倍菅の特性評価を進める。
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