研究実績の概要 |
銀河宇宙線の加速源および粒子加速機構の解明を目的とし,撮像型大気チェレンコフ望遠鏡H.E.S.S.による超高エネルギーガンマ線観測とフェルミ衛星による全天GeVガンマ線サーベイ観測を進めた。また、ガンマ線放射機構を理解する上で重要となるX線放射の観測をチャンドラ衛星やNuSTAR衛星を用いて進めてきた。 平成28年度は重点テーマとして超高エネルギーガンマ線放射が卓越している超新星残骸 RX J1713.7-3946 における粒子加速の研究を推進した。超新星残骸RXJ1713.7-3946のH.E.S.S.望遠鏡による長時間観測とX線観測を組み合わせる共同研究を行ない,X線放射より外に拡がったガンマ線放射を発見する成果をあげた (H.E.S.S. Collaboration, A&A 2017: 我々のグループはX線解析を担当)。これは超新星残骸シェルから脱出する宇宙線の兆候を捉えた可能性として注目されている。またチャンドラ衛星によるX線観測からは力学的進化について新しい制限を得て,RX J1713.7-3946 がセドフ期に移行していない可能性を示した(N. Tsuji and Y. Uchiyama, PASJ 2016)。そして超新星残骸 RX J1713.7-3946 の NuSTAR 衛星を用いて硬X線撮像観測を実施し、10 keV 以上の硬X線帯域での初めて撮像観測に成功した。その結果は国際会議のプロシーディングとして出版した(N. Tsuji, Y. Uchiyama, S. Katsuda, D. Berge, and F. Aharonian, AIP Conference Proceedings 2017)。
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