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2014 年度 実績報告書

太陽コロナダイナミクスを解明するナノ加工・計測技術による超高精度X線イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 26247031
研究機関独立行政法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

坂尾 太郎  独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (00225781)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード太陽物理学 / X線結像光学 / ナノ加工 / ナノ計測 / スペースオプティックス
研究実績の概要

太陽コロナのダイナミクスを解明するための、スペースからの太陽観測用超高精度Wolterミラーの研究を進めている。本研究では、X線に対してサブ秒角の結像性能を持つWolter表面を実現するため、(1) 空間周波数帯ごとに形状誤差の改善課題・改善目標を設定し、(2) 目標を達成するためのミラー研磨方法と工程を定め、(3) それに従って研磨を実施し、(4) X線による集光計測によって研磨方法・工程を検証し課題を抽出する、というサイクルを採り、着実な進展を期している。
平成25年度までに進めてきた試作で抽出した課題をふまえ、平成26年度は、ミラー表面における1mm程度の空間スケールでの形状誤差を抑制することで、特にメリディオナル方向(ミラーの面外方向)の集光性能を改善することに注力した。この結果、試作したミラーのSPring-8/BL29XULでのX線計測(8 keV)から、ミラーのサジタル方向(ミラー面内方向)だけでなく、メリディオナル方向についてもFWHM幅で5μm程度(角度スケールで<0.3秒角)に集光できていることが確認できた(サジタル方向のサブ秒角集光は、平成25年度の段階で達成済)。
しかしながら、(a) 空間スケール1mm前後での形状修正が今一歩不十分で、このため集光コアのすぐ外側の散乱成分が多く、HPDは大きな値(60μm程度; 角度スケール約3秒角)にとどまっていること、(b) 特にメリディオナル集光の焦点距離が設計値とずれている(研磨加工時のミラー表面のsagを定める絶対位置の誤差で6.5nm程度に相当)こと、を次年度に向けての主たる課題として抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度のミラー試作研磨とX線計測を経て抽出した課題のうち、平成26年度は特にミラーの面外方向の集光性能を改善することに集中し、この点については、(面内のみならず)面外方向にも、集光点においてFWHM幅でサブ秒角サイズの集光を果たすことができた。しかしながら、特にX線集光コアのすぐ外側の散乱レベルがまだ高い。また、研磨時の基準位置設定の微小な誤差(10nm未満)に起因すると考えられる、焦点距離の設計値からのずれも認められる。ミラーの大型化試作に乗り出す前に、これらの課題を解決するメドを立てる必要があると判断している。平成26年度はWolter表面創成に注力することでX線集光性能については期待する成果を得たが、散乱レベルの抑制など、総合的な超高精度Wolter表面の創成にはなお課題のあることをふまえ、達成度を評価した。

今後の研究の推進方策

ミラーの大型化試作に先立ち、X線集光コアのすぐ外側の散乱レベルの抑制および、焦点距離ずれの原因究明と対策の策定など、平成26年度に抽出したWolter表面創成の残課題の解決を図る。前者については、周期長0.1-数mm程度の形状誤差リップルを低減するための研磨工程を導入する(テストピースおよび研磨シミュレーションによる性能評価を実施中)。後者については、研磨時に用いた計測器の、測定再現性を含めた特性確認を通じて、原因の特定と対策の検討を進める。これらを受けて試作するミラーをSPring-8/BL29XULでのX線計測に供し、所期の改善が果たされていることを確認する。
これと並行して、ミラーの大型化を見越した、保持の解析検討にも着手し、太陽コロナ観測のための超高精度Wolterミラー国産開発のための研究を推進する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The soft x-ray photon-counting telescope for solar observations2014

    • 著者名/発表者名
      Sakao, T., Narukage, N., Suematsu, Y., Watanabe, K., Shimojo, M., Imada, S., Ishikawa, S., and DeLuca, E. E.
    • 雑誌名

      Proc. SPIE

      巻: 9144 ページ: 91443D (8pp)

    • DOI

      10.1117/12.2055925

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 2回反射型X線ミラーのためのX線スローププロファイラの開発2015

    • 著者名/発表者名
      松山智至、木目歩美、後藤拓実、西原明彦、香村芳樹、石川哲也、坂尾太郎、山内和人
    • 学会等名
      精密工学会2015年春季大会
    • 発表場所
      東洋大学
    • 年月日
      2015-03-17 – 2015-03-19
  • [学会発表] 太陽観測に向けた高精度サブ秒角Wolterミラーの開発検討2015

    • 著者名/発表者名
      坂尾太郎、松山智至、木目歩美、後藤拓実、西原明彦、山内和人、末松芳法、成影典之
    • 学会等名
      第15回宇宙科学シンポジウム
    • 発表場所
      JAXA宇宙科学研究所
    • 年月日
      2015-01-06 – 2015-01-07
  • [学会発表] 将来スペース太陽観測に向けた超高精度Wolterミラーの開発2014

    • 著者名/発表者名
      坂尾太郎、松山智至、木目歩美、山内和人、末松芳法、成影典之
    • 学会等名
      日本天文学会2014年秋季年会
    • 発表場所
      山形大学
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13

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公開日: 2016-06-01  

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