研究課題
シッフモーメントは核子間のパリティ及び時間反転不変性を破る相互作用から生じる原子核の電磁モーメントであり、反磁性原子に永久電気双極子モーメント(EDM)を生じさせて標準模型を超える物理の明確な証拠となる。本研究では、核スピン歳差を半永久的に維持する独自の技術「能動帰還型核スピンメーザー」と、反磁性原子129Xeに加えてその同位体131Xeを同一セル内で同時メーザー発振する「131Xe共存磁力計」を用い、同位体間の差からシッフモーメントおよび原子EDMの存在を明らかにする。前年度までに、新規に開発を行った129Xeと131Xeの同時メーザーを用いて達成したμHzオーダーの周波数精度を土台として、本年度は透明電極素材の選定とガス分圧・セル形状の最適化を行うとともに、更なる周波数精度の向上に向け周波数のふらつきの原因の詳細な調査を行った。その結果、メーザー周波数が歳差維持に必要な帰還磁場の強度へ依存することを見出した。これはメーザーの基礎方程式からは予期されないものであり原因を探ったところ、Xe核スピンの歳差検出に用いるRb原子が、Xeスピンのみならず帰還磁場にも応答していることが分かった。これを抑制するために、これまで同時かつ連続的に行っていた歳差観測と帰還磁場印加を時間的に分離する「間欠帰還」方式を新たに導入し、そのための測定制御・データ収集解析系を組み立てて、これを用いた周波数測定を実施した。その結果、メーザー周波数の長期安定性が向上することの確認に成功した。現在、結果の定量的な解析を進めている。またこれらの進展の結果、現在の周波数精度が測定のシグナル/ノイズ(S/N)比で制限されていることが分かった。今後ガス圧と運転条件の最適化、歳差観測レーザーの強度安定化によってS/N比を向上させることで、数桁の周波数精度向上が見込まれることが明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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