研究分担者 |
平山 賀一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (30391733)
宮武 宇也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50190799)
石山 博恒 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 客員准教授 (50321534)
渡邉 裕 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50353363)
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研究実績の概要 |
金、ウラン等の重元素を合成する速い中性子捕獲過程の起源となる天体環境の解明を目指し、中性子数N=126の安定閉殻の精密ベータ崩壊核分光実験を行う。そのため、多核子移行反応で生成される希少原子核を高速かつ高効率で分離、収集可能な単一原子核ビーム生成用ガスセル、寿命測定用のベータ崩壊測定用検出器の開発を行った。 ガスセル内のプラズマ効果を低減させつつ、一次ビーム増大による多核子移行反応生成物の収量増加を実現させるために、一次ビームが直接ガスセル内に入射しないドーナツ型ガスセルを開発した。その結果、引き出し効率が5倍に増え、一次ビーム強度を増大でき、反応生成物の収量を10倍に増やすことに成功した。 生成量が少ない短寿命核のベータ崩壊寿命測定のため、高効率かつ低バックグラウンドガス検出器を開発した。このガス検出器は16組32チャンネルに分割されており、検出パターンでバックグラウンドを除去できる。各組の固有検出効率は95%以上、有感立体角は80%ある。バッググラウンド計数率も0.08cpsまで低減できた。 上記のベータ線検出器の後ろにガンマ線検出器として、4台のスーパークローバーGe検出器(SCGe, 16ch)を配置した。検出効率は、これまで使用していた同軸型Ge検出器の10倍に増大できた。ガス検出器とSCGe用に新たなデータ取得システムを構築し、2kHzのイベント数に対して98%以上の高効率でデータ取得できる。 上記の改良により、短寿命核199,201Pt、196,197,198,201Ir, 196Osを引出し、ベータ崩壊の寿命を測定することに成功した。更に、短寿命核199Pt、196,197,198Irにおいては、レーザー共鳴イオン化核分光により、より詳細に核構造を議論できる磁気モーメントと荷電半径の変化量を導出することに成功した。現在、論文執筆中である。
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