研究課題
宇宙初期のビッグバン(超高温・超高密度状態)は「インフレーション」と呼ばれる時空の加速膨張を源にするという説が有力である。その決定的な証拠である原始重力波は、宇宙背景放射(CMB)偏光の大角度スケール渦パターン「原始重力波Bモード」として観測できるが、まだ検出されていない。本研究では、この原始重力波Bモードの測定に特化した高速回転望遠鏡「GroundBIRD」の開発研究を行う。高速回転スキャンをはじめとする独創的な技術を駆使して、従来の地上実験より一桁広い観測領域を実現することを目指す。本年度は、高速読み出しシステムのロジック回路の開発と望遠鏡受信機を使った超伝導検出器の応答確認試験を行なった。昨年度に開発した広帯域のアナログ回路を制御し、超伝導検出器の多重読み出しを実現するロジック回路の開発研究を行なった。本研究課題の要求をみたす多重度120を実現する回路を実装し、読み出し試験を行い、電子回路のノイズレベルも要求をみたすことを確認した。同研究に関連した論文も出版された。超伝導検出器を試作し、受信機内部で0.23ケルビンに冷却し、受信機外部から偏光信号を照射する試験も行い、偏光信号の変調を確認した。この試験を通して、検出効率の評価やその改善など、望遠鏡完成に至るまでの課題も洗い出した。なお、受信機内部の冷却に際しては、先行研究で開発した特許技術(特許第6029079号)を利用することにより、冷却性能の向上に成功した。
3: やや遅れている
試作した超伝導検出器の評価結果をフィードバックした新たな検出器の試作・試験を行う予定であった。しかしながら、検出効率を改善する工程において、装置パラメータの条件だしに当初の予定以上の時間を要し、その工程が次年度に持ち越されたため。また、観測予定地に合わせた望遠鏡の仕様改訂も必要であったため。
超伝導検出器の改良・評価試験と量産、望遠鏡の仕様改訂をうけた構造体の製作を行う。望遠鏡の構造体、受信機、検出器を全て組み合わせた統合試験を行う。試験結果を元に、本研究終了後に予定されている移設観測にむけた観測展望を見積もる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
J. Low Temp. Phys.
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