研究課題
宇宙初期のビッグバン(超高温・超高密度状態)は「インフレーション」と呼ばれる時空の加速膨張を源にするという説が有力である。その決定的な証拠である原始重力波は、宇宙背景放射(CMB)偏光の大角度スケール渦パターン「原始重力波Bモード」として観測できるが、まだ検出されていない。本研究では、この原始重力波Bモードの測定に特化した高速回転望遠鏡「GroundBIRD」の開発研究を行う。高速回転スキャンをはじめとする独創的な技術を駆使して、従来の地上実験より一桁広い観測領域を実現することを目指す。本年度は「偽偏光」に伴う系統誤差を抑制するために必須となる望遠鏡の3軸回転機構の開発と性能評価を行なった。観測機のわずか0.1%レベルの不完全性によって、無偏光信号を偏光信号と誤認識してしまう。これが偽偏光であり、これがもたらす系統誤差を抑制するためには、通常の観測に必要な2軸回転(望遠鏡の視野を縦と横に動かして観測する)の機構にプラスして、空を見込む角度を回転変調する3つ目の回転機構が必須となる。その機構を搭載した望遠鏡構造体を開発し、強度・回転時の振動が十分に小さいこと等を確認した。さらに、超伝導検出器を含む受信機を搭載し、望遠鏡動作時においても十分な冷却性能を保持していることを確認した。振動の影響や地磁気の漏れ込みの影響も、超高感度な計測デバイスである超伝導検出器の信号を使って分析した。その結果、超伝導検出器の性能を100%引き出すために必要な磁気遮蔽シールドの改良方針を洗い出し、その開発も行なった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEICE TRANS. ELECTRON
巻: E100-C ページ: No.3,pp.1-7
10.1587/transele.E100.C.298
Progress in Electromagnetic Research Symposium (PIERS)
巻: N.A. ページ: 4157-4161
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https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/CMB/index.html