研究課題
A.光励起半導体励起子・電子正孔系における量子凝縮相の解明と制御希釈冷凍機を用いて励起子温度100mK付近まで冷却された亜酸化銅結晶中の1sパラ励起子について、安定な自発的BECを観測する実験の解析を進めた。具体的には、本研究で実現した亜酸化銅励起子における1s-2p遷移を用いたライマン分光法による系統的実験の解析を行った。この結果で導き出された定量的な知見と、従来進めてきた発光測定実験の相互比較を系統的に行い、バルク励起子BECの特徴抽出のためのデータ整理を行った。時間分解測定についても解析を継続し、本研究で到達した前人未到の温度領域にて初めて、寿命、移動度、拡散係数などの励起子ダイナミクスに関わるパラメータを抽出した。また、トラップポテンシャル中の励起子が理想的なボース粒子と同様の空間分布を実現するには1K以下の極低温環境が必要ということも明らかにした。この知見は、上記のBECに関わる結果の解析の上でも重要である。B.レーザー角度分解光電子分光による光励起状態の新検出法開拓昨年度までに、高い波数分解能0.0038Å^-1を有する時間分解角度分解光電子分光装置の開発に成功している。また帯電抑制用の光を試料に照射することで測定可能な試料の範囲を半導体にまで拡張している。現在我々の光電子分光装置は、電子励起状態の観測法として非常に効率のよい測定手法となっていることが分かってきた。そこで今年度は半導体の光励起状態の光電子観測実験を行った。この際、室温から温度を低下させつつ光電子信号の変化を系統的に捉えることで、光物性で広く知られる電子正孔系と光電子信号との関係を注意深く解析した。またストリークカメラによる発光観測を光電子分光と同時に行うシステムを立ち上げ、光物性分野で蓄積されてきた、時間分解発光スペクトルの意味について光電子分光の側面から新たな知見を得る可能性を広げた。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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