量子電子光学実験による多体電子相関の解明

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26247050
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 山本 倫久 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (00376493)
• 研究分担者: 樽茶 清悟 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40302799)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 量子相関 / 量子ドット / 近藤効果 / 量子情報

研究実績の概要

1. 単一電子スピン不純物を単位とする近藤雲の空間スケールの検出と近藤格子問題の解明
一次元細線に両側から接続された量子ドットに電子スピンを閉じ込め、近藤温度が遠く離れたゲート電極に印加する電圧によって変調される様子を詳細に調べた。その結果、近藤温度が、量子ドットに接続された電極の状態密度とともにゲート電圧によって変調される様子が確認できた。さらに、量子ドットとゲート電極との距離が、理論から予測される近藤雲の空間的な広がりよりも大きくなると、近藤温度の変調が消えていく様子を確認した。このような振る舞いは、近藤雲の空間スケールを捉えている可能性が高い。一方で、干渉計におけるスピン散乱の影響は明確に見えているものの、スピン遮蔽状態の広がりはまだ見えていない。
2. 電荷量子ビットを用いた観測問題と量子もつれ伝導の解明
表面弾性波によって動く量子ドットに閉じ込められたままトンネル結合量子細線を伝導する電子の振る舞いを数値計算によって明らかにして、実験結果との一致が見られた。干渉によって電子が細線間を振動するのとは別に、異なる準位間の遷移によって電流が振動してしまう効果があることが明らかになったため、AB振動の観測によって干渉の可視度を評価する必要があることが確かめられた。AB振動を観測できる試料を新たに設計・作製・評価した。
3. 量子もつれ電子対の分離と非局所量子もつれ状態の検出・制御およびその応用への指針付け
表面弾性波によって動く量子ドットに閉じ込められた２電子の分離効率を正確に評価し、分離後の２電子の衝突干渉実験によって量子もつれを検証できる電流雑音相関の測定系を立ち上げた。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] フランス国立科学研究所NEEL(フランス)
  • 国名: フランス
  • 外国機関名: フランス国立科学研究所NEEL
• [国際共同研究] Ruhr大学Bochum校/Ludwig-Maximilians大学(ドイツ)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: Ruhr大学Bochum校/Ludwig-Maximilians大学
• [雑誌論文] Classical information transfer between distant quantum dots using individual electrons in fast moving quantum dots (2017)
  • 著者名/発表者名: S. Hermelin, B. Bertrand, S. Takada, M. Yamamoto, S. Tarucha, A. Ludwig, A. D. Wieck, C. Bauerle, T. Meunier
  • 雑誌名: Physica Status Solidi(b) 巻: 254 ページ: 1600673
  • DOI: 10.1002/pssb.201600673
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Low temperature behavior of the transmission phase shift across a Kondo correlated quantum dot (2016)
  • 著者名/発表者名: S. Takada, M. Yamamoto, C. Bauerle, K. Watanabe, A. Ludwig, A. D. Wieck and S. Tarucha
  • 雑誌名: Physical Review B (Rapid Communication) 巻: 94 ページ: 081303 1-5
  • DOI: 10.1103/PhysRevB.94.081303
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Fast spin information transfer between distant quantum dots using individual electrons (2016)
  • 著者名/発表者名: B. Bertrand, S. Hermelin, S. Takada, M. Yamamoto, S. Tarucha, A. Ludwig, A. D. Wieck, C. Bauerle and T. Meunier
  • 雑誌名: Nature Nanotechnology 巻: 11 ページ: 672-676
  • DOI: 10.1038/nnano.2016.82
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Injection of a single electron from static to moving quantum dots (2016)
  • 著者名/発表者名: Benoit Bertrand, Sylvain Hermelin, Pierre-Andre Mortemousque, Shintaro Takada, Michihisa Yamamoto, Seigo Tarucha, Arne Ludwig, Andreas D Wieck, Christopher Bauerle and Tristan Meunier
  • 雑誌名: Nanotechnology 巻: 27 ページ: 204001 1-5
  • DOI: 10.1088/0957-4484/27/21/214001
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [学会発表] Coherent electron transport driven by surface acoustic wave (2017)
  • 著者名/発表者名: R. Ito, S. Takada, M. Yamamoto, C. Bauerle, A. Ludwig, A. D. Wieck and S. Tarucha
  • 学会等名: 22nd International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems
  • 発表場所: Penn State University, Pennsylvania, USA
  • 年月日: 2017-07-31 – 2017-08-04
  • 国際学会
• [学会発表] Modifications to Kondo effect by distant quantum point contacts (2016)
  • 著者名/発表者名: J. C. H. Chen, M. Yamamoto, A. Ludwig, A. D. Wieck and S. Tarucha
  • 学会等名: 第６回半導体量子効果と量子情報の夏期研修会
  • 発表場所: ホテルサンバレー那須, 那須, 栃木県
  • 年月日: 2016-09-22
• [学会発表] Interference of singe electrons in depleted channels driven by surface acoustic waves (2016)
  • 著者名/発表者名: R. Ito, S. Takada, M. Yamamoto, C. Bauerle, A. D. Wieck and S. Tarucha
  • 学会等名: 第６回半導体量子効果と量子情報の夏期研修会
  • 発表場所: ホテルサンバレー那須, 那須, 栃木県
  • 年月日: 2016-09-22
• [備考] Researchmap
  • URL: http://researchmap.jp/michi_yamamoto/
• [備考] 研究室ホームページ
  • URL: http://www.meso.t.u-tokyo.ac.jp/