研究課題/領域番号 |
26247080
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
羽角 博康 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40311641)
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研究分担者 |
松村 義正 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70631399)
草原 和弥 北海道大学, 低温科学研究所, 特任助教 (20707020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大陸棚―外洋交換 / 海洋大循環 / 数値モデル |
研究実績の概要 |
以下の3項目について研究を実施した:①大陸棚海底付近・大陸棚縁の微小物理過程のモデリング手法開発、②外洋深層水の南極大陸棚上への貫入、③北極海の大陸棚過程。 ①では、超高解像度の3次元非静力学海洋モデルを用いて、理想化された設定のもとで大陸棚海底・大陸棚縁で生じる物理過程に対する個別のモデリングを実施した。潮流・沿岸波動・前線不安定といった大陸棚上/縁に典型的な小規模擾乱現象に起因する海水輸送・混合を仮想トレーサー実験等によって定量化した。また、大陸棚海底上堆積物の外洋への輸送を扱うために、3次元非静力学海洋モデルの中に懸濁粒子の捲き上げ・輸送・沈降過程を取り入れた。 ②では、南大洋の循環や温度・塩分構造を現実的に再現するのに十分な解像度の南大洋全域モデルと、大陸棚から大陸棚縁にかけての小規模な地形や擾乱を表現することができる南極沿岸モデルの設定や境界条件を作成した。また、南大洋全域モデルと南極沿岸モデルを双方向にネストして相互作用させながら計算する枠組みも整えた。これらのモデルを短期間実行する予備実験を行い、基本的な動作確認をするとともに、次年度以降の実験結果を解析するための基本的なツール群を整備した。 ③では、比較的高解像度の北極海モデルと比較的低解像度の北大西洋中高緯度モデルの2種類を構築し、双方向ネストする枠組みを整えた。また、太平洋水・大西洋水が流入する2箇所の大陸棚域(太平洋側:チュクチ海・カナダ沿岸、大西洋側:バレンツ・カラ・ラプテフ海)に対する高解像度局所モデルと、水平格子20 km程度の北極海全域モデルを双方向ネストする枠組みも整えた。これらのモデルを短期間実行する予備実験を行い、基本的な動作確認をするとともに、次年度以降の実験結果を解析するための基本的なツール群を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元非静力学モデルに懸濁粒子過程を取り入れる際、当初予期しなかった困難が発生したため、本来は平成26年度中に終える予定であったモデル開発が翌年度にまでずれ込む結果となった(研究費の繰越を行った)。それ以外の点については概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
モデル開発の遅れは概ね取り戻しており、今後は当初計画通りに順調に研究を推進することができる見込みである。
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