研究課題
地球の気候システムを構成する重要なコンポーネントであるにもかかわらず、その挙動の復元が難しかった棚氷について、新しく2つの方法を提案し、世界最大のロス棚氷がこれまで考えられていたよりも1万年もわかいタイミングで大崩壊をしていたことを新しく発見した。棚氷の平面的な位置を復元するために、大気中で生成される宇宙船生成核種を用い、年代を決定するために特定有機化合物の放射性炭素年代測定をを行った。前者はベリリウム-10を用い、棚氷が当該地域から後退した後にはエアロゾルなどに吸着されて降下してくる量が圧倒的に増えることを発見し、応用した。一方そのタイミングについては、特定有機化合物の抽出法の開発と、ごく微量での加速器質量分析法の開発を行うことで達成できた。内容はPNAS(アメリカ科学アカデミー紀要)に発表し、アメリカ地球物理学会では招待講演として講演を行った。コミュニティの反応は良く、早速アメリカやイギリス、オーストラリアなどのグループが同じような方法を適用するべく、研究を開始した旨連絡が入ってきている。また、氷期に存在した氷床量の復元を行うため、オーストラリア北西部ボナパート湾の堆積物と地球物理学的モデルを使った研究や、固体地球の変形モデルを使って求めたJ2-dotを用いた研究を実施したが、下部マントルの粘性率はこれまで広く使われていた値よりも大きく、また直近の氷期の最大氷床量は、海水準に換算して120-130mほどであったことを明らかにした。このことは、ミッシングアイス問題の解決法として、トータルの氷床量が100mを切るのではという一つの仮説の可能性を否定し、個別の氷床量の見積もりを高精度に行う必要を示唆したという点で極めて重要な結果である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 13件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 12件) 学会発表 (45件) (うち国際学会 27件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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