研究課題
統合国際深海掘削計画で得られた南大西洋(ODP Leg 208, Site 1263ほか)および赤道太平洋(IODP EXP. 320/321,Site 1333ほか)の深海試料を用いて炭酸塩骨格構造内硫酸イオン(CAS),および堆積性重晶石(バライト)の抽出を試みたが,十分とはいえる状況ではなかった.そこでポスドクを採用し,CASとバライトの両方を抽出するプロトコルの構築に努めた.また,この研究では第一人者である米国カリフォルニア大学サンタクルズ校のAdina Paytan博士のもとを訪れ,同研究室で行われている分析手法を学んだ.試行錯誤はあったが,少なくとも一部試料からは抽出ができるようになった.一方で新たな問題も複数生じてきた.一つはCASは7割程度の試料から得ることができるものの,バライトが限られた試料からしか抽出できないことであった.もう一つは,機器の故障の頻発である.これらを解決するため,予算を繰り越して28年度前半にIODP EXP. 320/321航海の追加資料をリクエストし,新たな試料の確保に努めた.また分析システムの改良を通じて機器のアップデートも進め,分析環境の向上に努めた.共同研究者とは東京大学大気海洋研究所において情報交換・研究発表会を開催した.また共同研究者である富山大の堀川氏と連携し,金沢大で他大学研究者も招へいして古海洋学勉強会,研究発表会も開催し,今後の本研究の進め方について議論した.
3: やや遅れている
機器の故障,堆積性重晶石(バライト)を炭酸塩試料から抽出することの困難さ(試料による含有量のばらつきが非常に大きい)のため,基幹的データの生産が遅れている.
機器の故障などのトラブルを解決して,ポスドクを採用した上で積極的にデータ採取に努める.バライトを遠洋性堆積岩から抽出することは困難であることは解ったが,一部の試料からは回収できることもわかってきている.そのため労力は費やすが着実にデータを取り,議論ができるようにしたい.
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