研究実績の概要 |
「超塑性」流動下の微細構造形成メカニズムを明らかにし、その結果生じる「超塑性」に特徴的な地球物理学的可観測量(粘性・弾性・電気伝導度)を実験的に示すことで、「超塑性」に基づく新たな地球内部ダイナミックスを構築するのが本研究目的である。 フォルステライト試料(Mg2SiO4)にFe成分を添加し、天然オリビン組成に近づけた。また、Fe入りオリビンが安定になる還元雰囲気で行えるシステムを構築した。本試料を用いるクリープ実験中の還元雰囲気を作るために、変形試験機に組み込まれる既存の高温炉の発熱部にアルミナ管を通し、その管内を雰囲気制御できるものを設計・製作した。本システムをもちいて、天然試料に存在し、かつ粘性を大きく下げると予想する不純物元素(候補はK, Na, Clなど)を実験試料に添加して、そのクリープ強度を測定できるようにした。 クリープ実験と同時に電気伝導度および弾性波速度を測定するオールアットワンス実験を行うシステムを作った。これより、試料や実験環境変化からくる粘性率、弾性率および電気伝導度の測定値間の不確かさが排除され、地球物理学的観測量であるそれら3つの完全な対比が可能になると予想される。 斜長石多結晶体における超塑性の詳細が調べられ、応力指数にして~1と拡散駆動型のクリープであることが判明した。また、マーカー法による変形後のマーカー変形の観察をおこなったところ、変形はほぼすべて粒界すべりで賄われていることが分かった。現在、その結果を公表論文としてまとめている。
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