研究課題
分析技術の進歩にともない年代情報の質や量は飛躍的に向上し、今では高品質かつ大量年代情報が議論の客観性・信頼性を左右するまでに至っている。本研究では、最も精密な絶対年代情報を与えるウラン―トリウム-鉛年代測定法に注目し、年代データのさらなる高精度化と、適用年代範囲・適用可能試料種の拡大を図る。この目的のために、本研究ではウラン-鉛同位体比測定の高感度化・高精度化が可能な新しいイオン検出器(デイリーイオン検出器)の開発と、年代データの系統誤差の原因となる放射非平衡の補正法の開発を並行して進め、さらに実際の地質イベントに応用することで地質年代学への展開を図ってきた。具体的には本研究を通じて小型デイリーイオン検出器を独自に開発し、従来は計測ができなかった1000万カウントを越える強いイオン信号でも正確な計測が可能となった。さらに開発したデイリーイオン検出器3基を多重検出器型ICP質量分析計に応用することで、年代測定の適用範囲の拡大と、分析精度の飛躍的な向上が達成できた。また本研究では年代データの系統誤差の原因となる放射非平衡に対し、独自の補正法報の開発し、これまで分析応用例が殆どなかった“若い”ジルコン(年代値が50万年よりも若いもの)からも正確な年代データを引き出すことが可能となった。本研究を通じて実用化した年代測定法(ハードウエア、ソフトウエア、年代計算法)は、既に様々な地質現象の解明に応用しており、本研究で提案した“年代サイトメトリー”の概念とともに、その有用性と高い汎用性が高く評価されはじめている。本研究に得られた研究結果は、20報を超える国際誌に論文として報告することもでき、年代学の発展に大きな貢献が果たせた。また国際会議(第7回アジアー太平洋地域プラズマ分光分析国際会議)を主催し、研究の意義と波及効果を広く国内外の研究者に知らせることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
開発した新技術をすみやかに公開するためHPは定期的に改訂中。実用化した分析手法を広く活用してもらうために、装置の使用状況の確認やマシンタイムの予約をweb上で管理している。装置使用に際する注意事項や安全教育はICPMSセミナー(年1回開催)にて行っている。
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すべて 雑誌論文 (26件) (うち国際共著 26件、 査読あり 26件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 8件) 備考 (3件)
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