研究課題/領域番号 |
26248002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗原 和枝 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (50252250)
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研究分担者 |
粕谷 素洋 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00582040)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2018-03-31
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キーワード | 表面・界面 / 表面力測定 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者が開発した電気化学表面力装置を用いて、電解液を挟む電極表面間の相互作用を直接測定し、印加電位を変化させた時の電極の有効電位やイオン吸着などの基本的な特性の評価手法を確立することを目的とする。さらに、金や白金など代表的な電極について特性を解明することを目的とする。またフェロセンなど化学修飾電極における対イオン吸着特性の解明を行う。これらの結果とpHなどの界面の局所イオン濃度を定量的に評価できる分光表面力装置と合わせ、ナノ微細空間の電気化学の分子的描像を解明する。 本年度は,金電極表面について、前年度に評価した過塩素酸カリウム水溶液中に加えて、アニオン種を変えて表面力測定を印加電位制御下で行った。得られた表面力曲線のDLVO理論による解析から、表面電位・電荷密度に対するイオン吸着の影響について、各印加電位において系統的に明らかにすることができた。加えて、前年度に調製法を確立した白金電極表面について、電気化学表面力装置を用いて測定を開始し、電気二重層斥力から表面電位・電荷密度を定量的に見積れることを確かめた。 また、蛍光分光SFAを用いたpHプローブの蛍光スペクトル測定により、固-水界面の局所pHに対する基板依存性について,雲母,シリカ,アルミニウムの3種を調べ、表面が負に帯電する雲母、シリカ表面の場合は界面pHがバルクより減少し、表面が正に帯電するアルミニウム表面の場合は界面pHが増加することを見出した。これは、表面が負電荷の場合は対イオンであるプロトンがの電気二重層で増加、正電荷の場合は減少することによると考えられる。 さらに、電気化学表面力装置による電極表面間のナノ空間における電解液の電極電流の測定手法を確立した。この手法を、白金電極表面間のフェリシアン-フェロシアン水溶液に適用して、電極電流の電極間距離依存性による特性検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度までに予定していた電気化学表面力装置を用いた金・白金電極およびフェロセン修飾における表面電荷とイオン吸着の評価,蛍光分光表面力装置を用いた雲母,シリカ、アルミニウムと水との界面のpH評価を順調に行い、また、電極表面間のナノ空間における電極反応の観測手法を確立できた。さらに、来年度以降に予定していた白金電極表面間の酸化還元対水溶液における電極反応の観測も行うことができた。 以上の結果から「(1)当初の計画以上に進展している。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、電気化学表面力装置による白金電極の表面電位・電荷密度の評価について、さらにイオン種を変える等の詳細な検討を行い、イオン吸着と表面電位・電荷密度の相関について調べる。 また、本年度、測定法を確立した電極表面間距離を制御した電解液における電極反応の観測手法について、nmオーダーの電極間近距離で観測される電流測定に適用し、溶液中の電解質種や濃度等の条件を変えて、詳細な検討を行い、増幅条件と機構の解明を行う。 さらに、電池等の電気化学デバイスに用いられる電極材料について、表面力測定で用いることが可能な清浄・平滑な試料表面が得られるか、調製方法等を検討する。
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