リラクサー誘電率が広い温度範囲で緩やかに変化することから、誘電材料として好適であり、近年活発に研究が進められている。本研究では、分子性化合物に注目し、結晶内での回転や大振幅運動に基づく双極子の配列変化を利用した分子性リラクサーの開拓を行った。その結果、種々の結晶において誘電緩和現象が見られ、特にアダマンタン誘導体とジベンゾ[18]crown-6を組み合わせた結晶ではアダマンタン部分の回転とベンゼン環の変位が連動した分子運動に基づく誘電応答を観察し、これらの系が分子性リラクサー開拓に好適な物質系であることを示した。
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