研究課題
平成30年度の研究成果を各テーマ別に述べる。(A) 優先富化現象を示すラセミ体の有機医薬品化合物の探索とその機構解明:高効率な優先富化現象を示すことが明らかとなった、非ステロイド系抗炎症剤のCPPPAのラセミ体とアキラルなイソニコチン酸アミドの1対1共結晶について、この現象のメカニズムを検討したところ、これまで第一世代キラル有機医薬品化合物や、ラセミ体のアミノ酸とアキラルなジカルボン酸との共結晶について明らかにした優先富化現象のメカニズムとは大きく異なることが判明した。この事実より、優先富化現象には多様性と柔軟性が見られ、共結晶化によりこの現象がラセミ化合物結晶の一般的な自然光学分割法になることが期待される。(B) キラル有機ラジカル化合物を起点とするメタルフリー磁性ソフトマテリアルの合成と機能および磁気液晶効果発現の機構解明:加熱によりヘキサゴナルカラムナー相を示すことが明らかとなったメソ体のジラジカル有機化合物について、SQUID磁束計を用いて磁化の温度依存性と磁化の磁場依存性を測定することにより、(a)磁化の熱履歴現象(熱効果)と、(b)そのラセミ体のジアステレオマー異性体を5~20%ほど不純物として添加することにより磁化が大きく増加すること(不純物効果)を発見し、加熱前のナノ結晶相、加熱後の液晶相、冷却後のナノ結晶相のいずれの状態においても、スピングラス様の超常磁性を示すことが明らかとなった。また、調製に成功したメタルフリー磁性ナノエマルションをマウスに静脈注射して、MRI造影剤として利用できることを確認した。さらに、表面に特殊なペプチドを結合させたメタルフリー磁性ナノエマルションに疎水性の抗ガン剤を内包させて担癌マウスに静脈注射したところ、癌組織を委縮させる効果があることが判明した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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