研究課題/領域番号 |
26248040
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶原 康宏 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50275020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シアル酸転移酵素 / 抗体 / レクチン / 半化学合成 / 糖タンパク質 |
研究実績の概要 |
糖結合ドメインの近くに環状ペプチドを付加し糖鎖への親和力が向上した人工レクチンの合成を目指した。まず、シグレック7の基本骨格のN末端側の121残基を大腸菌で発現し、ペプチドチオエステルの合成に成功した。そして、シグレック7C末端側の16残基からなるペプチドを化学合成し、そしてnative chemical ligationにより連結し、現在、シグレック全長の大量調製を検討している。 シアル酸転移酵素は、昨年までにC末端側の223残基は大腸菌発現により調製はできていたが、そのペプチドのN末端側にHistagを付加させ溶解性を向上させたペプチドをデザインした(histagはTEVプロテアーゼによる加水分解するように配列を調整した)ものを用いて条件検討をした。その結果、TEVプロテアーゼによる脱保護により目的とする223残基ペプチドを得ることに成功した。また、昨年までに、酵素のN末端側のペプチドチオエステル、糖ペプチドチオエステルの合成は成功していたので、その量産化等効率化し、現在、シアル酸転移酵素の触媒部位全長を調製するためNCLを検討中である。 抗体のFC部位の半化学合成は、全長216残基のうち、C末端側の124残基を大腸菌で発現し、N末端側の92残基をBoc法で合成することで必要量が確保でき、順次NCLを実施し、純度のいいFC糖鎖ペプチドの全長合成に成功した。現在、そのフォールディングの検討に着手した。 膜糖タンパクとしてロドプシンの半化学合成を検討しているが、そのN末端ペプチドにおいても疎水性が高く化学合成をすることが困難な状況となっている。そこで、固相合成で調製するペプチドに本来はついていないヒト複合型糖鎖を付加し、リポソームにペプチド部位の方向を制御しながら埋め込み、膜中でのNCLを繰り返すことで膜タンパク質の合成を検討している。現在、必要となるロドプシンのN末端糖ペプチド30残基の合成をおこない、膜中でのNCLの検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シアル酸転移酵素、抗体のFc部位については順調に合成が進んでおり、半化学合成による合成が期待できる。 膜タンパク質については、予測をしていただが、その疎水性が化学合成の問題となっている。これについては、膜のなかでペプチドを連結する手法にも取り組み新しい膜タンパク質合成の方法を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに調製したペプチド、糖ペプチドを量産しつつ、それらを連結し、抗体のFc部位、シアル酸転移酵素、人工レクチンの合成を引き続き進める。 膜タンパク質合成については、新規な合成法も開発しつつ、引き続き検討する。
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