研究実績の概要 |
本研究は、プラスチック生産における石油依存および可食系原料の利用から脱却し、真の持続的な物質循環型社会を構築するために、非可食系バイオマスから新規なバイオマスプラスチックを創製することを目的とする。今年度は特に、米ぬかから抽出されるフェルラ酸と呼ばれる芳香族化合物を用いたポリマー合成および米国エネルギー省が提唱する12種類のバイオリファイナリー基幹物質の一つであるグルカル酸を用いた新規ポリマーの合成法の確立を行った。 フェルラ酸単独での重合ポリマーでは熱溶融性を発現しなかったが、アミノ酸のとの共重合ポリエステルを合成することにより熱溶融性が可能なポリマーの合成に成功した。合成されたポリ(フェルラ酸-co-アミノ酸)共重合体は様々な有機溶媒にも可溶であった。 一方、グルカル酸に関しては、反応過程で直鎖状化合物から環状化合物に変換するという現象が起こり、ポリマー化に関しては困難を極めたが、グルカル酸中に存在する4つの水酸基をアセチル基で置換したグルカル酸アセテートを合成し、これを用いたポリエステル化およびポリアミド化を試みた。その結果、ポリエステルについては、分子量3,000~5,000と目的とするポリマーの合成はできなかったが、ポリアミド化においては分子量14,000の高分子ポリマーの合成に成功した。特に合成したポリグルカル酸アセテートアミドに関しては、水系および有機系溶媒のいずれにも溶解することから両親媒性ポリマーであることがわかった。
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