研究課題
本研究課題の目的は、熱電変換材料に資するナノ構造体の精密合成および特性評価によって、熱電変換材料におけるナノ構造化の性能向上効果を実証することである。本年度は、熱電特性評価に向けたナノ構造体の電気伝導率増大に焦点を絞り、研究を推進した。1.結晶性骨格を有するビスマスナノワイヤの合成平成27年度の研究にて、結晶性は低いものの、ビスマスナノワイヤの直径を6-9nmの範囲で精密に制御することに成功した。そこで、平成28年度はナノサイズ化による量子閉じ込め効果を実証すべくビスマスナノワイヤの結晶化を行った。鋳型として用いるメソポーラスシリカの細孔を閉塞し、加熱することで、細孔内のビスマスを細孔外に溶出することを防ぎつつ、ナノワイヤ骨格の結晶化を試みた。細孔外部に溶出したビスマスがあるものの、一部でナノワイヤ形状を維持しつつ骨格の結晶化に成功した。当研究室はメソポーラスシリカの細孔を閉塞する手法を有しているため、結晶性ビスマスナノワイヤの作製に道筋をつけることができた。2.導電性メソポーラスドープチタニアの作製と熱電特性の評価平成27年度は、メソポーラスチタニアのメソ細孔の付与による熱伝導率の大幅な低減が確認された。しかし、チタニアは電気伝導率が低く、電気伝導率およびゼーベック係数の測定が困難であった。そこで平成28年度は、メソポーラスチタニアの骨格に異種元素をドープすることで電気伝導率の増大を試みた。2端子法による簡便な測定はではあるが、窒素をドープしたチタニアにて電気伝導率の増大を見出した。また、4種類の細孔が交互に積層したメソポーラスシリカ超格子の作製にも成功し、その超格子を鋳型に用いることで、様々な細孔径及び細孔配列を有するメソポーラスチタニアの作製が可能となり、メソ細孔と熱電特性の相関をより厳密に解明する道を開拓できた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
黒田・下嶋・和田研究室http://www.waseda.jp/sem-kuroda_lab/
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