研究課題
本研究課題では、2次元系(黒鉛型)及び3次元系(ダイヤモンド型)、(BN)(1-x)(C2)x相(2次元系ではx=0~1、3次元系ではx=0~0.1、0.9~1)の高品位結晶の合成を通じて、新たなBCN系機能材料の創製を目指している。2次元系BCN結晶合成では、昨年度hBN結晶中への高温度下での炭素拡散により1E20~3E18atom・cm-3の炭素原子がhBN膜厚方向に濃度勾配を持ってドープされること。当該結晶のバンド端発光スペクトルが消失し、新たに紫外線発光(波長250nm)を呈するなど、光学的特性に大きな変化が見られた。今年度当該結晶を新たに調整したタングステン製発熱体による高温炉(炭素フリー)で窒素中、1800℃程度でアニールすることにより、炭素不純物濃度が1F17atm.cm-3程度まで低減することを見出した(SIMS分析)。ポストアニールにより残留炭素不純物濃度の低減プロセスとして有用な可能性がある。3次元結晶系ではCo-Ti-Cu系溶媒におけるTi濃度の制御によりダイヤモンド単結晶中の残留窒素濃度を1E21~1E16cm-3まで制御する合成条件を獲得した。合成時にホウ素を微量添加することにより、ダイヤモンド中でのB-Nペア濃度の制御条件の確立に進めたい。ダイヤモンド中のドーパントと点欠陥複合体を対象に第一原理計算を行い、B、Nについては、これらが共存する場合、複合体を形成することが示唆された。更に、cBN結晶上へのダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長条件を基に、高濃度ホウ素ドーピングを実施した。成長したダイヤモンドのホウ素濃度をカソードルミネッセンスで評価した。ガス中のホウ素濃度(B/Cgas)が2.1%で合成した結晶では、結晶中のホウ素濃度(B/Cdiamond)が0.1%(~1E20cm-3)であった。取り込み率の向上には、プラズマ診断を含めた、成長条件の最適化が必要である。
2: おおむね順調に進展している
2次元系BCN結晶創製について、高純度hBN中への高温度下での炭素ドープにより1E17~1E21cm-3までの炭素濃度を有するhBN結晶の調整、更に炭素フリーの条件下(タングステン発熱体)による熱処理で、ドープされた炭素不純物の低減がなされることを見出した。cBN結晶中で可能である希土類元素ドーピングをダイヤモンド中で達成するための基礎として、ダイヤモンド単結晶中に1E18cm-3オーダーのホウ素―窒素共添加条件を明らかにした。更にcBN/ダイヤモンドヘテロ接合結晶も合成し、引き続きこれらの構造評価、機能探索に展開する。以上、2次元及び3次元系BCN固溶体結晶の合成と特性評価に向けて順調に進展している。
引き続き、cBN或いはhBN結晶中への炭素ドープ また、ダイヤモンド中へのB-N共添加結晶の合成を進め、発光特性を中心とした評価を行う。また、cBN/ダイヤモンドヘテロ接合結晶は高圧法、CVDの両方で進め、形成される界面の特性を相互比較しつつ、新たな機能の発現を目指す。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 8件、 査読あり 11件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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