研究課題
精密な温度依存低速電子線回折実験のため、測定槽に低温高精度マニピュレータを組み込んだ。高感度紫外光電子分光光電子分光およびシンクロトロン放射光施設を利用した各種光電子分光実験等により有機薄膜界面の電子状態研究について、6件の論文成果を発表した(他投稿中あり)。一例として以下の成果を得た。<表面を反応場とした有機金属反応と電荷移動制御>投稿準備中金属基板上に有機分子が吸着すると、強い相互作用によりLUMOへの電荷移動が生じる例が報告されているが、相互作用が弱くなることによる界面電子状態への影響を調べた。パイ共役系有機半導体DBP分子は、側鎖のフェニル基立体障害により、基板電子との相互作用が弱められ、主としてHOMOバンドの軌道混成により界面熱平衡が実現した。ドイツとの国際共同研究である。<半導体界面における電子準位接合の実験及び理論検証>ファンデルワールス力を基本とした弱い相互作用による電子状態の変化は、極めて微細であるため実験検証が困難である。物性発現とその制御に対して非常に重要な知見となる、フェルミ準位のピン止め現象を実験と理論により検証し定量的な評価を行った。一部成果について論文発表し(Appl.Phys.Lett.2016)、総括論文を投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
装置の移設作業および真空装置の立ち上げ作業がやや遅れ、また軌道分布測定のための海外シンクロトロン放射光施設の採択を得たが、装置トラブルのため実験を実施できなかった。次年度に再度実験を試みる予定であるが、当初計画の電荷輸送機構の解明にむけた「分子軌道の自由度とエネルギー」へのリンクつけが難航している。それ以外の電荷移動や電子準位接合実験について補足データの取得は順調に進行しており、研究全体の進捗状況は問題ない。
逆光電子分光実験装置の調整を進め、構造規定された同一試料について価電子帯と伝導帯のその場測定を実施する。配向単分子層結晶膜を作製し、運動エネルギーに依存した振動結合状態の測定のため、高精度角度分解光電子分光実験を進める。シンクロトロン放射光を利用した先端光電子分光実験を行い、相互作用に依存した軌道分布変調について実験を行う。電子準位接合・電荷輸送機構についてこれまでの結果をふまえ研究総括を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Phys. Status Solidi (RRL)
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/pssr.201700012
Phys. Rev. B
巻: 94 ページ: 155426-1-9
10.1103/PhysRevB.94.155426
Appl. Phys. Lett.
巻: 109 ページ: 093302-1-4
10.1063/1.4962052
ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 8 ページ: 11526-11531
10.1021/acsami.6b02692
J. Phys. Chem. C
巻: 120 ページ: 14568-14574
10.1021/acs.jpcc.6b04848
https://groups.ims.ac.jp/organization/kera_g/