研究課題/領域番号 |
26249001
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
巨 陽 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312609)
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研究分担者 |
森田 康之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380534)
細井 厚志 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (60424800)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / ナノワイヤ配列 / 面ファスナー / 常温実装 |
研究実績の概要 |
(Ⅰ-1)高空間秩序ポーラスアルミナの開発 空間的にナノレベルの超高精度に制御された陽極酸化ポーラスアルミナを開発した。また、陽極酸化に、細孔を制御するための独創的なプロセスを新たに開発し、陽極酸化においてくぼみ形成の前処理を行うことによって細孔の直径、配列のコントロールを実現した。さらに、ポア密度を従来の1/4以下を達成し、従来では存在しなかった低密度ポーラス材料の創製を実現した。 (Ⅰ-2)3次元金属ナノワイヤ配列の作製 開発したポーラスアルミナをテンプレートとして用い、電着プロセスによりシリコン基板上に3次元Cuナノワイヤ配列作製に成功した。また、電圧や電流、温度、時間、水溶液濃度といった電着条件などを基に高品質単結晶3次元Cuナノワイヤ配列の作製プロセスの最適化を行った。 (Ⅱ-1)金属ナノワイヤの導電率のその場計測 独自に開発したマイクロ波原子間力顕微鏡を用いて、金属ナノワイヤの導電率のその場計測を実現した。また、作製した各寸法の単結晶金属ナノワイヤのキャリア濃度及び移動度を解析することにより、ナノワイヤ表面の電子散乱や表面の熱放出効果などが自由電子の輸送機構に及ぼす影響を明らかにした。 (Ⅲ-1)金属ナノワイヤ間のナノ力学特性の解析 ナノワイヤ間のファンデルワールス力を解析するために、1本のナノワイヤと平表面間の凝集エネルギーを計測した。また、ナノワイヤのフック&ループ構造の力学特性の解析には、基板上に生成したナノワイヤに原子間力顕微鏡用シリコンカンチレバーの先端を近づけて曲げ変形させ、変形したナノワイヤとAFM探針間に形成したフック&ループの引張応力を、AFMカンチレバーのたわみにより計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定されていた本年度の研究計画を順調に実施した上、ポア密度を従来の1/4以下を達成し、従来では存在しなかった低密度ポーラス材料の創製を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
(Ⅰ-3)パターン状電気伝導ナノワイヤ面ファスナーの創製 パターン状電気伝導ナノワイヤ面ファスナー(ECNSF)の創製をアルミニウムの陽極酸化プロセス、電着プロセス、微細加工プロセスにより実現する。まずシリコン基板上にスパッタ蒸着法によりパターン状のクロム薄膜を形成し、その後同様にしてパターン状のCu薄膜を形成する。次にシリコン基板上にレジストを塗布し、レジスト上にCu薄膜を形成する。レジスト及び形成したCu薄膜上に絶縁膜をコーティングし、電着プロセスでの絶縁性をもたせる。また、形成したCu薄膜上にパターン状のアルミニウムを蒸着し、陽極酸化プロセスによりポーラスアルミナを形成する。さらに、電着プロセスにより、作製したポーラスアルミナ内へCuを充填する。最後に、レジストを除去し、エッチングプロセスによりポーラスアルミナを除去する。以上のプロセスによりECNSFの創製を実現する。 (Ⅱ-2)ECNSFの多チャンネル電子輸送機構の解明 作成したECNSFを用いて、Cu薄膜をコーティングした導電性基板に接続させ、単一ECNSFの多チャンネル電子輸送機能を評価する。また、金属ナノワイヤ導電率のその場計測の研究成果を踏まえて、ナノワイヤの直径、密度などによるECNSFの多チャンネル電子輸送機能に及ぼす影響を明らかにする。 (Ⅲ-2)ECNSFのナノ力学特性の解析 作成したECNSFを用いて、Cu薄膜を有する基板に接着させ、ECNSFへの予荷重とECNSFの電気抵抗との関係を計測する。そして前年度の金属ナノワイヤ間のナノ力学特性の解析結果を利用し、電気抵抗と接触表面積の関係からECNSFのファンデルワールス力の評価モデルを構築する。また、ファンデルワールス力を分離したECNSFのフック&ループ構造のナノ力学特性の評価モデルを構築する。
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