研究課題/領域番号 |
26249002
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澁谷 陽二 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70206150)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 構造体ネットワーク / サイズ効果 / 有限変位 / 非局所性 / 部材化 |
研究実績の概要 |
今年度は,特に下記の2点について実施した. [1]ミリスケールn配位構造体ネットワークの試作については,すでに試作実施済みの4配位柔軟節構造体ネットワークを参照して,円筒形や組合せ構造等の3次元配置の構造体ネットワークを作成した.そして,今年度経費で購入した「構造体ネットワーク解析シミュレータ」を用いて,開発してきた自作のプログラムにより分岐モードの分類を行った.その結果,試作の変形モードの観察と分岐条件に応じた予測がほぼ妥当であることがわかった.そのような構造が周期的なミクロ構造として配置された連続体モデルを考え,はり部材からなる構造に対する均質化有限要素プログラムを開発した.同様に,購入したシミュレーターにより,既存の正方格子やすでに発表したn配位構造体ネットワークに対する解析を実施し,数値計算の精度の範囲内で予測どおりの均質化弾性定数の得られることを確認した. [2]マイクロスケール部材の試作については,中実円筒,中空四角柱といったマイクロスケールの部材の試作のために,集束イオンビーム機のマイクロ加工技術を用いて実施した.その試料に対して,単軸圧縮変形の負荷応答を調査し,粒界や相界面を有するヘテロ構造体に対するサイズ効果を調べた,結晶性ピラーのサイズ効果を表現できる構成式をあらたに提案し,その構成式モデルに基づく結晶塑性弾塑性有限要素プログラムの開発を行った.実験結果を首尾良く表現するためのパラメータを同定した上で,サイズ効果が予測できることを定量的に明らかにした.これらの一連の成果は,関連分野の英文雑誌に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた二つ目の項目については3本の論文を出版できており,概ね当初の計画通りに進行していると判断できる.一つ目については,特許の可能性のある構造を提案しているが,実用性,応用性の観点でさらなる検討が必要であることから,来年度以降に成果が期待できる.経費については,実験装置の故障による部品の交換等の修理費用を「その他」に計上したので,当初計画からやや増額になっているが,全体的には大きな変更ではない.
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今後の研究の推進方策 |
マクロスケールのサイズ効果としてミリスケールで発現させるための非局所性の解析を,来年度は中心に実施する.そして,今年度で開発された均質化有限要素シミュレーション,サイズ効果を取り入れた結晶塑性弾塑性有限要素シミュレーションを軸にした計算機シミュレーションを実施する.特に前者について,本申請で重要な論点である非局所性の導入と,ユニークな構造体ネット-ワークの特性を関連付ける予定である.
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