研究課題/領域番号 |
26249006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高増 潔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70154896)
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研究分担者 |
高橋 哲 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30283724)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 座標計測 / ナノメートル計測 / 光計測 / 三次元形状測定 / 不確かさ推定 |
研究実績の概要 |
1.不確かさ推定理論の体系化とシミュレーションソフトウェアの提供の実証実験 昨年度までのシミュレーションソフトウェアの検証作業に基づいて,三次元計測における不確かさ推定理論の体系化を行った.開発したソフトウェアを利用して,ステップゲージを三次元測定機で測定する場合の不確かさが推定を行った.実際の三次元測定機によるステップゲージの測定結果とシミュレーションソフトの結果を比較して,有効性を確認した.さらに,透過型電子顕微鏡(TEM)による半導体の寸法測定に対しても,シミュレーションソフトウェアの適用を行った.サブナノメートルの不確かさに対しても,有効性が確認できた.これらのシステムの不確かさシミュレーション結果は,実際の不確かさとよく一致した. 2.光学的三次元形状測定の応用実験の実施と不確かさ評価の実施 角度測定による三次元測定システムを適用対象として,より高精度な測定と,その不確かさの評価手法の実用化を行った.回転するステージとオートコリメータを組み合わせることで,高精度化とステージの誤差の分離,オートコリメータの自律校正を可能にするシステムが構築し,その不確かさを評価できた.このシステムを三次元計測の実施例として開発し,理論的な不確かさ推定と合わせて,システム全体の不確かさ評価を検証できた.さらに,他の研究機関等が開発している角度測定による非球面形状測定機への適応を行った.不確かさ推定手法の評価により,高精度化が行えた.また,角度測定機の系統誤差を自律校正する手法を開発し,実用的な適用を行った.この手法により,不確かさの小さい形状測定を実施できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,不確かさ推定理論の体系化とシミュレーションソフトウェアの実証実験に関しては,三次元計測における不確かさ推定理論の体系化に対して,ステップゲージの測定を通して有効性を確認できた.この実証実験では,標準を利用した測定機の校正作業により,測定機の運動学パラメータの不確かさが推定のためのソフトウェアの開発および実証実験を行うことができた.さらに,半導体の寸法測定にも適用し,サブナノメートルオーダの寸法測定においても,構築したシステムの実用性が確認できた. つぎに,光学的三次元形状測定の応用実験に関しては,角度測定による三次元測定システムを適用対象として,より高精度な測定と,その不確かさの評価手法の実用化が実現できた.さらに,自律校正の手法の開発が行え,その不確かさ評価が実証できた.この結果として,サブナノメートルの不確かさで大型非鏡面を計測できた.
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今後の研究の推進方策 |
2つの大きなテーマについて,以下の方針で最終的なシステム構築を推進する. まず,不確かさ推定理論の体系化とシミュレーションソフトウェアの実証では,実際の測定への適用を引き続き行う.理論体系を実際の三次元計測に適用した結果を解析し,構築した体系に対応するシミュレーションソフトウェアを利用者が自由に使えるシステムを提供する.今年度の実証結果をより広い範囲へ適用するために,不確かさシミュレーションソフトウェアの開発指針を再チェックし,不確かさを推定するだけでなく,不確かさを小さくするための方法をソフトウェア上でテストできるプラットホームの実証実験を行う.システムを適用する対象をさらに増やすと同時に,適用結果の分析を行い,システム性能の評価を行う. 次に,光学的三次元形状測定の応用実験では,開発した角度測定による三次元測定システムに対して,引き続きより高精度な測定と,提案した自律校正手法およびその不確かさの評価手法のシステムをまとめる.また,絶対精度評価を他の機関と協力して実施した結果から,不確かさ評価を整理して,新しい光学的三次元形状測定手法の開発と,精度評価および校正方法の検討を行う.システム全体の不確かさ評価を理論的および実験的に検証する.
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