研究課題/領域番号 |
26249007
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉野 雅彦 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40201032)
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研究分担者 |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
長尾 忠昭 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (40267456)
山中 晃徳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50542198)
梅原 徳次 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超微細加工 / 自己組織化 / 微細金属素子 / 金属ナノドットアレイ / 熱デウェッティング / 製造技術 / 光メタマテリアル / プラスチックフィルム |
研究実績の概要 |
1.プラスチック膜への転移法:本年度は超微細切削により、石英ガラス基板に直接微細格子パターンを加工しテンプレート基板を作成する方法を検討した。しかし工具摩耗により、目標とする十分大きな面積に均一の微細溝構造を作成することは困難であることが分かった。そこでEBリゾグラフィ法により微細格子溝・微細ピラーアレイを加工したテンプレート基板を用いることにした。テンプレート基板の上に金薄膜をコーティングし、熱デウェッチングでナノドットアレイを生成し、プラスチックフィルムに転移するプロセスを検討した。金ナノドットの転移率の向上のためにさらに検討を続ける。 2.スタンプ法:EBリゾグラフィ法または超微細塑性加工法で作成した微細溝列構造を有する母型を作成し、開発した熱インプリント装置により微細構造をCOPフィルムに転写する方法を確立した。さらにArスパッターで表面を活性化させた石英基板に、このフィルムをモールドとして薬品をスタンプし、乾燥させた後、金薄膜をスパッターコーティングした。この基板を焼鈍することによりスタンプパターンに倣って金ナノドットが凝集することを明らかにした。すなわち薬品をスタンプした部分には細かいナノドットが、スタンプしない部分には大きなナノドットが生成するため、スタンプのパターンによってナノドットアレイの構造を制御できることを示した。 3.メタマテリアルの作成:超微細塑性加工と熱デウェッティング法を利用し、微細なナノロッドアレイを作成する方法を確立した。その上にSiO2膜を薄くコーティングし、さらに金薄膜をコーティングした後、熱デウェティング法で自己組織化させることにより微細な二重ナノロッドアレイを作成する方法を確立した。この吸収スペクトルの測定および数値シミュレーションによる検討により、屈折率が非常に小さいメタマテリアルの特性が発言する可能性があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超微細機械加工と自己組織化を併用した様々なプロセスを検討し、効率的に微細金属素子を作成することが可能であることを示すことができた。まだ効率性や製造の安定性などに課題があるため更なる検討が必要であるが、研究期間の半分が経過した時点で基本的なプロセスが確立できており、ほぼ予定通りの進捗と考えている。 また本手法を用いて光メタマテリアルの実現可能性を示すことができ、光学機能創出の目標も達成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのプロセスをさらに改善し、製造の安定性、形態の精度向上を図り、高い製造効率を実現できることを示していく。さらに多様な金属素子構造を加工するための方法を検討する。 作成した金属微細構造の光学特性を評価し、光メタマテリアルの実現、プラズモニックバイオセンサーへの応用、SERS基板の開発を目指した検討を行う。
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