研究課題
単一微小拡大管内気泡放電現象を利用した水質浄化用小型反応性プラズマポンプを試作し、管内気泡流動とメチレンブルー水溶液の脱色分解特性との関係に着目して実験を行った。また、ナノパルス放電下で水中での化学反応を考慮した高次の非定常単一放電気泡モデルを構築し、数値シミュレーションにより気液中での化学種の拡散機構を明らかにした。以上、実験及び数値シミュレーションにより得られた結果を要約すると以下のようになる。1.非定常ベルヌーイの式を用いて溶液輸送特性を明らかにした。印加電圧が増加すると、より大きなジュール加熱に伴う気泡の活発な発生により、流量の増大に帰する。気泡発生周波数は消費電力17.8Wで最大となり、この時実験から決定された最大流量になる時の最適値となる。2.微小拡大管では、気泡が太い管側のリザーバに排出され、脱色性能が促進される。電圧印加60分後におけるメチレンブルー水溶液の分解率は、直管の場合に比べて約2.4倍の脱色性能が得られ、微小拡大管内気泡放電による輸送効果が有効であることを示した。また、印加電圧の増加に伴い細管側の分解率が減少したが、太い管側の分解率は上昇した。3.ナノパルス放電下の単一気泡について、可視化による気泡内界面に沿う時間進展ストリーマモデルと気泡内外化学反応モデル、さらには気泡内から界面を通した活性種の液中への拡散を考慮した2次元拡散モデルを統合した新規なモデルを提案した。4.放電後18msでは、酸化力の強力なOHラジカルが気泡界面近傍の数μm程度の領域のみ存在し、液中には広く拡散しない。また、放電の印加電圧や周波数に対するOHの生成特性及び拡散過程を明らかにした。同じ消費電力では、低印加電圧で高周波数の場合、OHの発生濃度は70%増加することもあり、分光計測による実験結果と定性的によい一致が得られ、水処理のための作動条件に有意な知見を得た。
1: 当初の計画以上に進展している
世界で初めてラジカルの気泡内外の2次元拡散を考慮したナノパルス放電気泡モデルの構築に成功し、気泡流動を活用した高効率分解のための小型浄化流動システムの開発が可能となったため。
1.平成29年度は、実験に基づいたストリーマ進展モデルと2次元放電気泡拡散モデルを統合したモデルを確立し、実験解析と比較参照しながら、高効率水質浄化のための最適条件を提示する。2.複数細管プラズマポンプを新規に試作し、同期放電に伴う流動構造を活用した高効率水質浄化デバイス設計の基礎資料を提供する。
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Plasma Science and Technology
巻: 18 ページ: 924-932
10.1088/1009-0630/18/9/09
Journal of Physics D: Applied Physics
巻: 49 ページ: 405202 (10pp)
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http://www.ifs.tohoku.ac.jp/nishiyama-lab/japanese.html
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/jpn/zuihitu/file_10-2.html