研究課題/領域番号 |
26249023
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原 進 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40329850)
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研究分担者 |
大槻 真嗣 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50348827)
山田 陽滋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90166744)
橋本 樹明 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (70228419)
久保田 孝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90211888)
山田 啓介 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80456798)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 惑星探査 / 機械力学 / 制御工学 / 航空宇宙工学 / 衝撃 |
研究実績の概要 |
研究代表者らはこれまで,機械構造物に発生する衝撃応答制御の問題,特に衝撃を受ける際のリバウンドと加速度の抑制に着目し,運動量交換型衝撃吸収ダンパに基づく手法と,力学的エネルギーの交換に基づく手法について研究してきた.本研究では,衝撃エネルギーを粘性減衰により散逸させるのとは全く異なる,これら2種類の新理論に基づいた衝撃応答制御手法を発展させて,従来にはない厳しい仕様を満たす衝撃応答制御に関する体系的な方法論を確立することを目的とした.そして,主な応用対象として月惑星探査機の着陸機構を取り上げた. 本年度は,運動量交換型ならびに力学的エネルギー交換型ともに多次元・多自由度への拡張をねらう研究を推進した.前者については,衝撃応答を緩和するためのダンパ質量の運動を並進方向から回転方向に変換することでダンパ質量飛翔にともなう不具合を解消する無飛翔型運動量交換衝撃応答制御機構(NF-MEID)を提案し,特に,斜面への着陸に対する有効性を確認した.後者については,斜面や段差のある着地面を前提に,着陸時の加速度緩和と転倒防止を実現する伸縮脚を用いた親機子機分離型着陸応答制御機構(TG-BESM)を導入し,シミュレーションのみならず実験的にもその有効性を明らかにした.また,運動量交換型については,あらゆる条件に対する設計パラメータの最適化を図る観点から,理論の一般化を目指し,2次元平面内での並進運動と回転運動の抑制問題を題材として,シミュレーションによる検討を進めた.さらに,来年度以降本格的に実施する発展的実験のためのシステム検討も行った.なお,研究分担者の山田(啓介)らを中心にして,月惑星探査機着陸機構以外の対象への応用検討も開始された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の研究実績としては,当初の研究実施計画を超える成果となっている.特に,力学的エネルギー交換型の手法においてTG-BESMの実験的な有効性確認が行えたことは大きな成果である.来年度以降の発展的実験においても,この成果がベースとなる.なお,本年度得られた研究成果は今後,論文投稿などを計画している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も,おおむね研究計画調書にある研究計画・方法に沿って実施する計画である.理論的には,各手法それぞれで設計パラメータの最適化や他手法との比較を進める他,2次元3自由度から3次元6自由度への拡張に取り組む.さらに,研究代表者,研究分担者が協力して,次年度以降本格的に活用する発展的実験のためのシステム導入も進めている.これを利用した3次元6自由度の条件や砂地等への着陸応答制御実験を実施する.同時に,制御機構の小型化やモジュール化に関する検討も始める.
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