研究課題/領域番号 |
26249028
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴森 康一 東京工業大学, 工学院, 教授 (00333451)
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研究分担者 |
脇元 修一 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40452560)
安積 欣志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10184136)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人工筋肉 / アクチュエータ / 筋骨格ロボット / 空圧人工筋 / ソフトアクチュエータ |
研究実績の概要 |
現在の人型ロボットと実際のヒトの身体の駆動機構は大きく異なっており,これが両者の運動特性に様々な違いを生んでいる.しなやかで「生き物らしい」運動特性を持ったロボットを実現するには,十分な収縮能力を持ち,集積して超多自由度機構を駆動できる「人工筋」の実現が鍵となる. 本研究では①「電気駆動」と「多繊維構造」を特徴とする「次世代マッキベン人工筋」を実現し,②「筋骨格ロボット機構」に適用してその可能性を実証することを目的としている. ①マッキベン人工筋の電気駆動と多繊維構造化に関しては,本年度は新たにプロトン広間膜とその電極形成の専門家を研究分担者として追加し,柔軟で薄肉円筒状のプロトン交換膜の形成,ならびに,収縮/弛緩(水分解/合成)のどちらの過程においてもある程度早い反応を行うデバイスの開発に注力した.その結果,数秒~10秒程度の応答性を持つアクチュエータの開発に成功した.また,弛緩時にエネルギー回収を行うことによりエネルギー効率の向上も実証できた. ②筋骨格ロボットに関しては,上腕,下肢の筋骨格駆動系を構成した.下肢については,人間の下肢とほぼ同様の筋骨格駆動系を実現した.この際,整形外科医にもアドバイスをもらい進めた.その結果,冗長駆動が良好に行え,特に膝において人間と極めて近い運動学特性の実現に成功した.また支えながらではあるが,歩行にも成功した.上肢についても,尺骨/橈骨のツイスティングによる前腕の旋回動作など,筋骨格駆動系特有の運動の実現に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①マッキベン人工筋の電気駆動と多繊維構造化に関しては,柔軟で薄肉円筒状のプロトン交換膜の形成,ならびに,収縮/弛緩(水分解/合成)のどちらの過程においても数秒~10秒程度の応答性を持つアクチュエータの開発に成功した点,また,弛緩時にエネルギー回収を行うことによりエネルギー効率の向上も実証できた点を評価する.ただし,性能特性についてはさらに改善の余地があるので,引き続き継続する. ②筋骨格ロボットに関しては,上腕,下肢の筋骨格駆動系を構成し,人間の下肢,上肢とほぼ同様の筋骨格駆動系を実現した.具体的には,良好な冗長駆動の実現,人間と極めて近い運動学特性の実現,歩行,前腕の旋回動作など,筋骨格駆動系特有の運動の実現に成功した点を評価する.
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今後の研究の推進方策 |
①マッキベン人工筋の電気駆動に関しては,柔軟性,応答性をさらに高めるための,材料面での研究を継続する. ②筋骨格ロボットに関しては,顎関節,脛骨等の特徴ある筋骨格駆動系を実現してゆく.
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