研究課題
本年度は、昨年度に引き続き逆ペロブスカイト型遷移金属窒化物薄膜の磁性・磁気伝導特性の解明、種々の強磁性体における異方性磁気抵抗効果に関する伝導理論の構築、ならびに複合酸化物障壁層を有するFe4N基強磁性トンネル接合素子の界面磁性の変調について研究を行った。その結果、下記の成果を得た。Fe4Nの類型材料であるMn4N薄膜では、異方性磁気抵抗効果の符号が概ね100K以下の低温で正から負に変化し、同時に磁気抵抗曲線に4回対称成分が重畳することが明らかとなった。また、温度低下に伴って単調に変化するMn4N薄膜の異常ホール伝導率も、100K以下の温度で急激にその大きさが減少し30K以下の温度で符号反転することを見出した。新たに構築した結晶場効果を取り入れた異方性磁気抵抗効果の伝導理論に従うと、Mn4N薄膜では、多数スピン電子が電気伝導を担い、同時に100K以下の温度で正方対称化することが明らかとなった。また、NixFe4-xN薄膜の作製と磁気特性評価からは、Ni濃度の増大に伴って同薄膜のキュリー温度が低下し、x=3では室温以下となること、また、少数スピン電子が同薄膜の電気伝導を担っていることが異方性磁気抵抗効果の計測から明らかとなった。さらに、Fe4N/BaTiO3/Fe4NとCoFe3N/BaTiO3/CoFe3Nヘテロ構造についてBaTiO3の電気分極方向と界面磁性との関係について第一原理計算を用いて調べた結果、分極方向の変化によって非常に大きな磁化変化が得られることが明らかとなった。具体的には、Fe4N/BaTiO3界面とCoFe3N/BaTiO3界面にてそれぞれ, 1.37μB、1.34μBの変化となり、界面付近の逆ペロブスカイト型遷移金属窒化物の層間距離が正極側で縮まった結果として、界面2層目の体心位置のFe原子が低スピン状態で安定化したことに因ることが判った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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