研究課題/領域番号 |
26249069
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小長井 一男 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 教授 (50126471)
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研究分担者 |
早野 公敏 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (40302632)
竹内 渉 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50451878)
清田 隆 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70431814)
菊本 統 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (90508342)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地震防災 / 国土保全 / 地震工学 / 地盤変形 |
研究実績の概要 |
液状化に起因する地盤の沈下マップをほぼ東京湾岸全域に拡大するとともに、その精度を検証し、再液状発生のリスク評価のための解析を進めた。さらに横浜市内の丘陵地の谷埋盛土の形状を把握し、東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市近郊の折立などの住宅地の地盤状況の差異を表面波探査計測を行うことで確認した。さらに2015年4月25日に発生したネパールゴルカ地震の調査を行い、地震後も変動を続ける斜面の計測を行うとともに、カトマンズ盆地内を東西に横切るアラニコハイウェーの丘陵間谷内を横断する場所での被害を分析し、表面に存在する有機土層が地震時変形のみならず常時にも変形する可能性があることを示唆した。これらの知見は査読付きの報告JSCE Fact sheetとして3編掲載されるとともに、実際の復興にも反映された。さらに土石流の流速を谷壁に残る土砂痕跡から推定する従来手法が抱える課題を三次元の粒子法による数値解析を進めながら整理し、新たな修正式を提案するに至った。この成果はLandslideの査読論文として投稿中であり査読者からおおむね好意的な評価を得ている。 当該年度の一つの大きな成果は地形の3次元データ作成のために、これまで用いてきた航空レーザー計測(LiDAR)に加えてドローンを活用したことである。4月25日のネパール・カトマンズ地震や、雨季に加速した地形変化の観測において、LiDARほどの精度は期待できないもののLiDARでは把握しきれない、また使用困難な場所での詳細な情報集約に威力を発揮した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題が目指すところは地震に起因する地盤変形を浅層と深層のラグランジアン変位成分に分離し、これらが地震災害そのもののみならず,その後長期にわたる国土保全や,人々の生活とどう関わっていくのかを分析し,地域の長期の保全に資するための一連のレシピを構築するものである。前者については2015年ネパール・ゴルカ地震の災害調査を契機に様々な計測技術を導入することで想定以上の成果を得ることができたが、一方で深層の地盤変形に係る研究は一昨年度までの成果をベースに岩盤内応力の変化と斜面災害の関係を示したWorld Landslide Forumの論文の精度検証に留まった。全体的には当初の目標に向かって順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2016年4月の一連の熊本地震ではその存在が知られていた日奈久・布田川断層帯に沿って地表断層変位が表れたのみならず、阿蘇カルデラ内に10kmにも及ぶ断続的な地盤の陥没帯が表れ、ライフラインや農業施設に甚大な影響を与えた。また外輪山内壁や、火砕丘上の緩斜面での土砂災害も深刻であった。平成28年度は本課題の最終年度に当たり、予算規模も研究活動の集約と開示を意図したものになっているが、開発された手法をこの地震災害解析にも適用し、学術貢献、社会貢献の実を挙げていく。
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備考 |
2011年東日本大震災での東京湾岸の液状化による地盤沈下の詳細ディジタルマップや2004年中越地震で山古志の中山間地に伏在する地すべり土塊の存在を示したディジタルマップを集約する。
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