研究課題/領域番号 |
26249074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴崎 亮介 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (70206126)
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研究分担者 |
瀬崎 薫 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (10216541)
関本 義秀 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60356087)
渡辺 知保 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70220902)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 携帯電話 / CDRデータ / 位置情報解析 / 属性推定 / 人口統計 / 途上国 |
研究実績の概要 |
2015年度は、バングラデシュ・ダッカ都市圏を中心としたCDRデータを用いて、人口分布の変化や移動等の動態情報を迅速に把握・解析する手法の開発を行った。CDRデータは匿名化されているため、携帯電話保有者の世帯属性、人口統計学的属性等は不明である。しかし、そうした属性はある程度携帯電話の利用実績や移動実績データと関連があり、それらのデータから推定可能なはずである。そこでダッカ市内に調査地域を設け、インタビュー調査を行い、個人属性・世帯属性や拡大係数等をCDRデータより推定する手法を開発した。それにより、性別、未婚・既婚別などについては70%程度精度で推定可能なことがわかった。これにより匿名化されたCDRデータと、現地調査データを組み合わせることで、人口統計を補完できる可能性が示された。また、平均すると一日に5回から10回程度しか得られないCDRデータを利用して、1日全体の移動・滞留を推定するために、行動の周期性・習慣性に着目して、同一個人を対象とした1ヶ月程度のCDRデータ履歴から、特定の1日の動きを推定する方法を協調フィルタリングの考え方をりようして開発した。これらを本研究ではDynamic Censusと呼んでパッケージ化し、CDRデータ分析の重要なアウトプットとして位置づけた。今後、世界展開が進むように、国際機関等へのアウトリーチを行う予定である。 なお、こうしたデータを元に、ダッカ市住民の暑熱暴露、汚染大気への暴露等に関する研究を進展させることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バングラデシュにおけるCDRデータの収集は、同国の規制政策の変更により若干遅れているものの、すでに所得しているデータを利用して、ダッカ都市圏を対象に手法開発等を進めており、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、バングラデシュ全域のCDRデータを、雨期・乾期の別に収集できる予定であるため、その処理に備えて、システム整備・開発、手法開発等を進めておき、同時に現地のBUETと協力をすすめ、結果を現地の防災計画等へどのように反映すべきか議論するための土台を一層強固なものとする。
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