研究課題/領域番号 |
26249076
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
細見 正明 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90132860)
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研究分担者 |
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (20509533)
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30434327)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高圧ジェット装置 / 汚泥減容化 / 活性汚泥 / 圧壊 / 高度処理 / 排水処理 / 酸素富加 |
研究実績の概要 |
グラム陰性細菌であるEscherichia coliとグラム陽性細菌であるBacillus subtilisの懸濁液を改造した高圧ジェット装置に適用し、圧壊・摩擦・衝突のそれぞれの物理的影響が細胞の損傷にどのように影響を及ぼすか、原子間力顕微鏡による1細胞レベルで評価を行った。グラム陰性細菌であるEscherichia coliはどの影響に対しても細胞破砕が確認された。一方、グラム陽性細菌であるBacillus subtilisは摩擦や衝突では細胞の破砕が見られなかったが、圧壊のみに対して細胞破砕が観察された。高圧ジェット装置が有する圧壊が細胞壁の厚いグラム陽性細菌にも有用であることを1細胞レベルで証明した。 次に、高圧ジェット装置を総容積2.3 m3の高度処理用の硝化液循環活性汚泥法の濃縮汚泥返送ラインに組み込み、実生活排水を連続通水することで排水の高度処理および汚泥減容化の双方が達成できるかの評価を行った。ポンプによる活性汚泥の送液が問題なく行える場合、窒素除去および汚泥減容化の双方が達成できることを示した。 さらに、高圧ジェット装置を組み込んだ活性汚泥システムにおいて、原核生物叢解析として16S rRNA遺伝子に加え、真核生物をターゲットとした18S rRNA遺伝子に基づく微生物叢解析を行った。高圧ジェット装置を活性汚泥システムに組み込むことにより、真核生物叢が対照系である活性汚泥システムと比べて大きく異なることを明らかにした。以上より、活性汚泥システムに組み込まれた高圧ジェット装置は、細菌および高次な真核生物の双方の微生物叢に大きく影響をもたらすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子間力顕微鏡に関して、専門家と密なコミュニケーションが図れたことで計画通りに研究を進めることができた。 また、実生活排水の処理および汚泥減容化試験においては、メンテナンス頻度を上げることにより、これまでの問題点を解決することができ、遅延無く研究を進められた。
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今後の研究の推進方策 |
高圧ジェット装置の基礎検討では、高圧ジェット装置の適用のみにより有機物などの溶存成分の分解が起こりうるかの評価を行う。これにより、高圧ジェット装置による水質改善効果が可能かどうかの見極めを行う。さらに、圧壊の程度を変化させた際の汚泥減容化率を定量的に明らかにする。 実生活排水の処理および汚泥減容化試験においては、長期運転を通して水質の安定性および汚泥減容化の性能について追跡する。これにより、システムの頑強性・長期安定性を明らかにするとともに、コスト試算を行う。
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