研究課題/領域番号 |
26249084
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
澤地 孝男 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 部長 (10344003)
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研究分担者 |
村田 さやか 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 北方建築総合研究所, 研究主任 (00462341)
桑沢 保夫 国立研究開発法人建築研究所, 環境研究グループ, 上席研究員 (30251341)
三浦 尚志 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 主任研究官 (40414966)
赤嶺 嘉彦 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 主任研究官 (40447420)
宮田 征門 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 主任研究官 (40554986)
田島 昌樹 高知工科大学, 工学部, 准教授 (90391680)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱交換換気 / 全熱交換器 / 省エネルギー / 換気負荷 / 空気調和設備 |
研究実績の概要 |
本研究は熱交換換気を含み外皮及び空調設備からなるシステムの特性を改めて検証し、その省エネルギー実効性に係る透明性の高い評価方法及び設計方法を構築することを目標としている。本研究では現時点までに、非住宅建築物に設置された熱交換換気設備の挙動に関する実測調査(寒冷地及び温暖地)を行うとともに、実験室における熱交換効率及び有効換気量率に関する既往の分析結果等を参考にして、熱交換換気設備の特性評価方法のあるべき状況の理論的検討、関連国内外規格に準拠した試験装置の製作を行った。また、非住宅建築物における熱交換換気設備を含む空調設備の空気搬送系に関する設計の実態を実務者に対してヒアリングを実施して把握するとともに、製作した試験装置を用いて2機種(静止形及び回転形)を対象として試験を試行した。合わせて、国内外の特性値計測に係る規格を分析し、規格には現れないより具体的な測定手順案の作成に着手した。さらに、回転形に関して豊富な試験実績を有するユーロベント(欧州の空調関連の性能認証制度)のために熱交換換気設備の試験を行っているスイス・ルツェルン大学を訪問して、担当研究者との情報交換を行った。 従来熱交換換気の省エネ効果の評価においては、有効換気量率、給排気量の大きさと比率、測定器の不確かさの要件、具体的な測定条件等への配慮が不十分なまま、単に全熱交換効率で換気負荷を割り引く操作がなされることが多かったが、それらの要因を考慮した省エネ効果の評価ロジックを作成し、研究期間の途中ではあるが平成28年省エネルギー基準のための一次エネルギー消費量算定プログラムへの導入を完了させた。また、平成28年度から開始された日本冷凍空調工業会における全熱交換器のJISの改正委員会に参画し、これまでの研究成果を基に改正方針に関する提案を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱交換換気に関する欧州、北米及び国際規格の調査分析を完了させ、具体の試験装置及び試験手順の大略の作成を行い得ている。また、熱交換換気メーカーの組織(日本冷凍空調工業会)との連携をとり、同組織におけるJIS規格の改正に対しても提案を発し得ている。さらに、全熱交換器の省エネ効果の評価ロジックを作成して、国の省エネルギー基準における一次エネルギー消費量算定法に組み込むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成28年度においては、全熱交換器の重要な特性値である熱交換効率及び有効換気量率に関する安定し信頼できる試験手順案を完成させるとともに、最大で既実施の機種に加えて4機種の試験を実施して、試験手順案の検証を行う。試験実施機種に関しては各メーカーと測定結果に関する情報交換を十分に行って、必要に応じて試験方法の微修正を行った上で、本研究により製作された試験装置を日本における標準的な熱交換換気設備試験装置として公表する。試験の信頼性確保とともに、熱交換換気設備を含む空調システムの標準的な設計施工方法の作成公表につなげることを目指す。これらの成果は、今後建物新築時に適合義務化の予定となっている省エネルギー基準評価方法に組み込むこととする。
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備考 |
ウェブページには、全熱交換器による省エネルギー効果の評価ロジックが掲載されるとともに、一次エネルギー消費量算定用ウェブプログラムが置かれている。
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