研究課題
熱弾性マルテンサイト(M)組織の形成ダイナミクスと3次元構造について,前々年度,前年度に続き,以下の研究を行った.1)熱誘起(非等温)熱弾性M相の核発生と不変面の形成過程,2)等温熱弾性M変態の微細構造解析,3)熱弾性M相の自己調整組織の3次元解析と制御,4)自己調整組織の形成・消滅・再形成に伴い導入される格子欠陥の解析と制御.1)ではM内に格子不変変形(LIS)が内在する合金(Ti-Ni)系において核生成後に不変面形成のための格子回転が起こり,LISを内在しない合金(Ti-Ni-Pd, Ti-Nb-Al)系においては核生成時に形成された不変面はMの成長によっても変化しないことが明らかになった.また,後者の合金系においては熱サイクルに伴う組織再現性が極めて良好であった.2)では変態点をほぼ等しくなるように調整した整合析出相を含むNi過剰Ti-50.9 at.% Ni時効材と単相のTi-50.7 at% Ni急冷材について電気抵抗測定による等温変態強度を調べた結果,時効材の等温変態速度は急冷材より10倍程度大きいことが判明した.また,時効材においてはM変態に先立って現れるR相変態も等温変態を示すことが明らかになった.3)では冷却ステージを用いてM変態のその場観察と集束イオンビーム加工機/走査電子顕微鏡によるSlice and viewによる3次元観察を試みたが,試料の温度勾配に沿ったMの優先・偏向成長が起こり目的の達成には至らなかった.4)についてはM状態で薄膜化することで逆変態レリーフを有する透過電子顕微鏡試料を作製し,自己調整構造内の転位の形態,分布,バーガスベクトルを決定した.転位密度は晶癖面バリアント(HPV)ごとに異なっており,自己調整構造の形成が転位密度の低いHPVから始まり転位密度の高いHPVの形成で終了することを示唆する結果が得られた.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 備考 (2件)
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