研究課題/領域番号 |
26249104
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 修一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50133038)
|
研究分担者 |
金 へよん 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20333841)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 超弾性 / 生体材料 / チタン合金 |
研究実績の概要 |
Zr濃度を10~50at.%の範囲で変化させたTi-Zr合金をベースとし、Nb、Mo、Feを添加した3~4元合金を基本組成として評価した。また、ω相を抑制するためSnを添加した4~5元合金を作製し評価した。合金インゴットは高純度合金元素をアーク炉で溶解して作製した。均質処理冷間圧延を行い、溶体化熱処理または焼鈍処理を施し、結晶構造解析、内部組織観察および機械的特性の評価を行った。Ti-Zr-Nb合金において、形状記憶効果および超弾性を示す組成範囲を明らかにした。また、各合金の母相とマルテンサイト相の格子定数を測定し、マルテンサイト変態に伴う格子変形歪みの組成依存性を系統的に調査し定量化した。Ti-Zr-NbおよびTi-Zr-Nb-Sn合金系において、MoとFeの添加は超弾性特性の改善に有効であることが分かった。MoとFeは非常に強いβ相安定化元素として働きマルテンサイト変態開始温度を低下させた。マルテンサイト変態温度を低下させる効果は、1at.%Feは5at.%Nb、1at.%Moは3-4at.%Nbに相当することが分かった。FeおよびMoも格子変形も減少させるが、超弾性を示す組成で比較すると、NbをMoやFeに置換した方が格子変形歪みの増加に有効であることが分かった。しかし、NbをFeに置換するとω相の形成を促進させ応力ヒステリシスを大きくすることが分かった。FeおよびMoの添加はすべり臨界応力および破断応力を上昇させ、超弾性特性の改善に有効であることが分かった。集合組織は熱処理条件および合金組成に強く依存した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
結晶構造、マルテンサイト変態挙動、超弾性特性に及ぼす添加元素の影響を定量的に調べ、従来の生体用チタン基超弾性合金に比べ大きな変態歪みを有する組成範囲が確立できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により導いた合金系の超弾性特性を最大限引き出すための組織制御法を明らかにする。チタン基合金の機械的特性に大きな影響を与える集合組織、ナノドメイン構造、オメガ相微細構造について詳細に調べ、その制御指針を明らかにする。また、相安定性、ヤング率、マルテンサイト変態挙動に及ぼす添加元素の影響を明確化し、高強度・低ヤング率合金の開発につなげる。
|