研究課題
本研究では、マイクロ波プラズマCVD法によるダイヤモンド合成でほとんど試されていない高純度マイクロ波に着目したホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜合成法の開発により、量子センシングのリソースとなるダイヤモンドNV ペアの表面近傍配置(<5nm)とその電子スピン位相保持時間(>45μs)を両立させるダイヤモンドの窒素ドーピングと表面近傍の極浅NV ペア形成技術の開発を目的とした。最終年度であるFY28の成果は以下のようにまとめられる。【ソリッドステートマイクロ波源を通じたダイヤモンド薄膜合成の高度化】設計・開発した高パワー(1500W)のソリッドステートマイクロ波源により、不要な周波数広がりや周波数変動による不要なガス励起およびプラズマ発生を抑制したした中で、ダイヤモンドをホモエピタキシャル成長させる技術が確立された。この技術により、NVペア密度を保ちつつ電子スピンの外乱要因となる不要な欠陥構造の抑制が可能となった。結果的に、ガス励起およびプラズマ発生のためのマイクロ波の位相雑音やスプリアスによる不要波が、結晶性に加えドーパント原子の取込みやそれによる電子状態の形成に影響を与えている可能性が見出された。材料合成でマイクロ波源のソリッドステート化が進むにつれ、これまで試されてきた様々なドーピングや結晶成長技術の未解決課題に対しても新たな合成パラメータとなることが期待できる。【NV電子スピン特性の向上】CVD層5nmのダイヤモンド量子磁気センサーを試作した。PL評価より、基板としたバルクダイヤモンドではなく、CVD層のみにNVセンターが形成されていることを確認し、T2=71μsを得た。これは、我々の従来技術と比べて、約7倍の延伸を示し、ソリッドステートマイクロ波源を通じたダイヤモンド薄膜合成の高度化により、NV電子スピン特性の向上を実証することができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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