研究課題/領域番号 |
26249109
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90220194)
|
研究分担者 |
大家 哲朗 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (10410846)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | CFRP薄板 / 超軽量構造 / 温間成形 / 連続薄板化 / 成形性試験法 / 構造最適化 / サンドイッチ成形 / 遺伝的アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究の狙いは、熱硬化性樹脂+連続繊維からなるCFRPの高速成形と成形されたCFRPによる極限軽量構造を実現するために、連続繊維からなる熱硬化性CFRPをターゲットとして、1) 連続薄板化、2) 100℃成形加工、マルチマテリアル化のための3) 塑性接合を研究する。平成27年度の成果は以下のとおりである。 [1]CFRP薄板の成形性を評価するための、成形性4試験法(引張曲げ試験、張出し試験、穴拡げ試験、深絞り試験)について引き続き検討を行い、これらの試験法をCFRP薄板の成形性試験法として確立した。 [2]CFRP薄板の成形性や機械的特性と層構造の関係を実験的に評価した。0.1mm板厚のプリプレグを標準とし、さらに薄い0,04mmのプリプレグからなるCFRP薄板との成形性の違いを実験的に検討した。 [3]CFRP薄板を連続製造するための方案として「プレス成形用CFRP薄板の制御圧延」を新たに着想し、大気中で圧延試験を行ない、得られた薄板の成形性を評価した。また、雰囲気制御(N2ガス雰囲気)下での薄板製造試験を行うための設備を製作し、予備試験を実施した [4]CFRP薄板のマルチスケールシミュレーションを行うための基礎的な検討を行った.正確な解析を行うためには高精度な材料データが必要不可欠であるが,CFRP薄板は炭素繊維と樹脂からなる複合材であり,それらの相互作用が大変形時には無視できないと考えられる.また,引張り側と圧縮側とでは材料特性が大きく異なるため,単純に炭素繊維と樹脂材料の単軸引張りの結果を適用しても正しい解析結果とならないことが想定される.引張りと3点曲げ試験および有限要素解析を用いた逆解析によって,塑性変形するCFRP薄板中の樹脂材料の変形抵抗を推定する手法の研究を行った.室温時の実験データによる推定実験では妥当な結果を得た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年度目である平成26年度は、先に示した4テーマを並行して実施した。研究計画調書に記載した通りに進んでおり、おおむね順調に進んでいると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、マルチスケールシミュレーションによるCFRP薄板成形過程および変形機構の解明のための計算機システムを新たに導入しCFRP薄板の大塑性変形時の力学特性の解明を行うとともに、高圧雰囲気制御圧延によるCFRPの高速薄板化、層構造が成形性に及ぼす影響の実験による研究、マルチマテリアル化のための塑性接合について、東京大学と慶応義塾大学で分担して、研究を進める予定にしている。
|