研究課題/領域番号 |
26249118
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 達也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40203731)
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研究分担者 |
脇原 徹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70377109)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゼオライト / 触媒 / 材料合成プロセス / ナノ多孔性材料 |
研究実績の概要 |
分子サイズの空間をその構造中に内包するアルミノ珪酸塩であるゼオライトは工業的に重要な材料であり、触媒や吸着剤、イオン交換剤などとして広く用いられている。その合成には高価な有機物(OSDA)を用い、長時間の水熱合成を行うということが長らく行われてきたが、本研究ではゼオライト合成を革新すべく、OSDAフリー、OSDA代替、高速合成を目指して検討を行っている。 中間年度にあたる当該年度では、これらの新規合成をより効率よく達成するためのゼオライト形成メカニズムのより深い理解と、合成条件探索や得られるゼオライトについての性能予測を助ける理論計算を主に検討した。 具体的な成果として、OSDAフリー合成も達成されている*BEA型ゼオライトをモデル材料として、種々の分析を駆使することにより、その形成過程を詳細に調べ、合成原料中における相互作用についての新たな知見を得た。更に、アルミニウムの骨格内位置について、理論計算を用いることにより構造安定性についての、網羅的かつ系統だった検討を行った。また、理論計算と実験を組み合わせることにより、既知のゼオライトとメソポーラスシリカの中間的な細孔径を持つ新たなシリカ多孔体の合成にも成功している。 これらの成果は、ゼオライトやゼオライト類縁の多孔性材料合成において、貴重な知見を与えることで合成条件探索のための指針を提示することで、今後の研究開発を加速させることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成についての研究はもちろんのこと、当該年度では理論計算や、メカニズム解明といった研究についても展開させることができた。これらの知見は大変価値のあるものであり、合成研究の助けとなると考えられる。そのため、研究は順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
OSDAフリー合成については、可能な範囲やその課題が見えてきたため、今後はOSDAを用いながらも、より安価で工業的にに実用化可能なものを用いた合成をメインで行っていく予定である。特に、MSE型ゼオライトは、触媒としての活性に優れていることが知られており、有用な合成法を開発できればインパクトの大きな結果が期待できる。高速合成については、これまでの知見を活かし、更に発展させる形で進めていく。
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