本研究では熱可塑・低圧成形複合材料および接着接合技術の低コスト・高機能性と光ファイバライフサイクルモニタリングによる高信頼化技術を融合させることにより実現可能となる、革新知的複合材構造コンセプトを世界に先駆けて提案・実証することを目的とした。産業界の要望に応えつつも、その中から学問的重要なエッセンスを抽出し集中研究を行うことにより、次世代複合材の品質保証・保守技術を確立することを目指したものである。 本研究を包含するより広い研究分野を対象とする基盤研究Sが採択されたため、本研究は年度途中にて辞退することとなったが、これまでの成果は以下のとおりである。 熱可塑CFRPの成形プロセスにおいては、高温高圧下で熱可塑CFRPプリプレグシートを一度溶融させて所望の形状に固めたのちに冷却する手法が用いられるが、冷却速度に依存して熱可塑性樹脂の結晶度が変化し機械的特性に大きな影響を与えることが知られている。これらの影響をモニタ可能にするべく、冷却条件を複数変化させた成形試験を行い埋め込み光ファイバによる内部ひずみ計測を実施した。また、内部ひずみや結晶化度が力学的特性に及ぼす効果について検討した。
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