研究課題
本研究の目的は,前駆現象から大規模破壊に至るまで様々なスケール(数cm ~100m)の岩盤破壊を, AE観測網により至近距離で計測し,観測される膨大な数のAEに着目して,大規模破壊に至るプロセスを明らかにすることにある.本年度は,これまでの解析結果を精査し,現象の理解を進めた.発生したAEに対して,Double-Differential法やCollapsing法で震源位置標定を行い,特定の箇所についての観察や解析をこれまで行ってきたが,最終年度はより広範囲の領域について観察を行った.掘削前面でのAE震源分布は板状に分布し,掘削が進行するにしたがって新しい板状構造が形成され,板状構造間にはAEが発生しない空白域がみられていたが,他の箇所についても同様の空白域がみられることが分かった.当初想定していた領域で想定の大規模破壊は発生しなかったため最終的な結論を下すことはできないが,岩盤内ダメージゾーンの形成が大規模破壊に至る重要な過程であると考えられるとの知見が得られた.すなわち, 初期破壊から最終的な大規模破壊に至るまでの時間スケールは様々であり,短時間の場合には明確に確認できない場合もあると思われるが,本フィールドでのAEの発生状況から考えると,岩盤内のダメージゾーンは,岩盤内で一様に成長していくのではなく,構造的に応力が集中する領域や強度が相対的に弱いと思われる領域で微小破壊が多数発生することでダメージゾーンが形成され,最終的に大規模破壊に至ると推定される.また,研究計画にも記したように,鉱山以外のフィールについても検討を行ったところ,注水により人工貯留層造成を伴う地熱フィールドにおいては,注水によりき裂群がせん断滑りの臨界状態となる不安定な領域が拡大することが,大マグニチュードイベント発生に重要な役割を果たしているのではないかとの知見が得られた.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Construction and Building Materials
巻: 168 ページ: 984-987
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地震第2輯
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MineSafe2017
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