研究課題/領域番号 |
26249138
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 朋祥 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (70237072)
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研究分担者 |
山本 肇 大成建設株式会社技術センター, 地盤・岩盤研究室, チームリーダー (10417090)
愛知 正温 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (40645917)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地殻工学 / 光ファイバ歪センサ / 室内実験 / 多相流れ / 地殻変動計測 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に引き続き、東京大学地震研究所油壺地震観測壕を研究サイトとして、超高精度光ファイバ歪センサによる計測を実施した。その中で、原位置計測系のレーザの劣化に伴う再調整を実施するとともに、計測システム自体が発生する熱による計測環境変化を制御するためのシステム改良を行い、より安定した計測を継続的に行うことを可能とした。また、昨年度構築したデータ転送システムを安定して運用することを通し、海外共同研究者の研究室とデータ共有をし、更なる精度向上に向けた技術検討を行った。 室内実験に関しては、昨年度まで実施してきた、極めて遅い流量条件下での多相流体挙動における岩石の変形挙動の理解に関して、実験結果と既存物理モデルに基づく数値解析との比較を通した検討を行った。その結果、この問題のさらなる理解に対しては、偏差応力の影響についても検討すべきであると考えるにいたり、そのための実験手法の検討を行うとともに、予察的な実験を行い、最終年度の室内実験において、データ取得が可能であるとの見通しを得た。 データ解析に関しては、光ファイバ歪センサによる計測を行っている地点で並行計測が行われている石英管伸縮計データに加え、地域周辺のGNSSネットワークデータを用いた岩盤歪挙動のスケール依存性について検討を行うことが有意義であると判断し、その検討を開始した。なお、それに加え、海洋潮汐や大気圧変動、降雨等気象条件に伴う岩盤変形に関してもデータ解析を実施し、原位置計測データから得られる岩盤物性に関わる情報を抽出するための検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原位置計測に関しては、安定したデータを継続して取得することができており、また、並行観測データや、大スケールの変形情報との比較を行うことが始められており、当初の目的である空間・時間スケールの違いに対するデータの取得が可能となってきている。このことから、研究は順調に進展していると判断できる。 室内実験に関しては、装置が抱える問題に鑑み、当初の目的であった実験系構築に注力するのではなく、昨年度明らかになった極めて遅い流体流動条件下で見られる現象にターゲットを当てることを通して、研究課題に迫ることが適切であると判断されたために、方向性の一定程度の変更を行った。その結果、研究期間内に岩石変形に関して設定した当初の課題に対する議論をより深められる見通しが立ったと考えており、こちらも研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の一定程度の方針変更と、今までの成果に基づき、今後は、原位置計測をさらに継続するとともに、光ファイバ歪センサ、石英管伸縮計、GNSSネットワークデータを用いた解析を行うこととする。また、室内実験に関しては、様々な偏差応力下での変形並びに流体流動の計測を行うことを通し、岩石の挙動に関する理解を深める。これらの研究を取りまとめることにより、研究を完成させる。
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