研究課題
将来の核融合原型炉の電子サイクロトロン加熱(ECH)では100MWレベルの加熱パワーが必要であり、核融合炉に適したECHでシステムを構築するには単管数MWのミリ波帯マイクロ波管ジャイロトロンの開発が切望されている。その開発の基盤的研究として、本研究では、28GHz帯のジャイロトロンで2MWレベルの発振を目指す。今年度は、これに必要な電子銃と共振器の設計・製作を進めた。電子銃設計では、速度分散ができる限り小さくなるよう電子銃のシミュレーションコードを用いて、カソード面から共振器位置迄の軌道を計算して分散を最小化した。ビームトンネルについては寄生発振が生じないようにSiCを配した構造として製作した。共振器については、2MWでの性能が向上するように、軸方向長さを長くし、また、発振モードとしてはTE8,5を決定した。ビームの入口部と出口部のテーパ管の形状についても、高パワーに向け設計を最適化した結果、28GHzにおいて、2MWを超える出力が、電子ビーム電流70Aにおいて可能との計算結果を得た。さらに、その設計に基づき、共振器部の製作を行った。モード変換器は、高パワー連続を目指す上では高効率化は必須であり、これまでに97%程度の伝送効率を得ているが、さらに、ミラーとの相性を考慮しながら設計を最適化して行き、27年度に製作予定である。試験設備についても、27年度に短パルスでの2MWレベルの検証ができるように装置の検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、電子銃、共振器の発振の基本となる部品の設計製作が完了した。
27年度に、モード変換器とコレクター、さらに外装部品等を製作し、部品レベルでの製作を終える。その後28年度に全体くみ上げをし、電子管として仕上げ、発振試験を開始、発振データを修得する。磁場依存性、ビーム電流依存性等の基礎データから、課題点を明らかにし、必要な改良点を明確にする。その後29年度に必要な改良を実施し、最終年度に目標の達成を目指す。
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