原型炉ECHに向けたマルチMWジャイロトロン発振の研究

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26249141
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 今井 剛 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80354637)
• 研究分担者: 假家 強 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30451678) ; 下妻 隆 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80270487) ; 坂本 慶司 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所, 研究主席 (90343904) ; 南 龍太郎 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70370476)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: ジャイロトロン / ECH / プラズマ加熱 / モード変換器 / ミラー / 円筒共振器

研究実績の概要

原型炉では、大型高密度プラズマの内部加熱・電流駆動制御が不可欠であり、100MWレベルの加熱パワーが必要となる。核融合炉に適した電子サイクロトロン加熱（ECH）でこれを構築するには、ミリ波帯で単管３－５MWジャイロトロン・マイクロ波電子管の開発が切望されている。本研究では、28GHz 帯電子管での2MWレベルの発振を目指す。必要な電子管主要部品は、100kV近い電圧で100A近い電子ビームを生成する電子銃部、2MW以上のパワーを発振する共振器、効率よくミリ波をガウスビーム様の波形にするモード変換機・ミラー系、発振後の電子ビームの受熱器のコレクター、高パワー密度のマイクロ波の出力窓である。２６年度はこれ迄の実績を基に電子ビームシミュレーションと共振器設計を実施、2MW以上発振の設計のめどを付け、円筒型共振器の製作を行なった。本年度はモード変換器・ミラー系の設計と製作、コレクター、出力窓の製作を行い、全体組み立てを完了し、400度Cレベルでの高温での真空排気を終え、ほぼ電子管としの動作準備ができた。特に重要なモード変換器・ミラー系については、マルチMW動作を想定して、モード変換効率を最大限に高くする設計を試み、第1ミラーまでの伝送効率９９%以上の設計を達成し、出力窓迄の伝送効率も９７%以上を確保した。出力窓も反射を最小限にする為に、２重窓として精密なチューニングができるようにした。また、2MWレベル発振動作に必要な試験電源の検討も進めて次年度に備えた。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り、ジャイロトロン主要部品を全て製作し終えて、全体組立を完了し、高温での真空排気を終えた。また、既存管でのデータも取得できた。

今後の研究の推進方策

次年度に、ジャイロトロンの外装を施し、仕上げるとともに、初期試験を実施し、設計データと比較を行う。試験は、既存の電源の範囲内で大電流発振データを取得し改良すべき点を明らかにして、改良設計を行う。また、試験設備の整備として、70-100A級の試験のための準備をさらに進め、２９年度以降には、さらに高電力の発振を目指す。

研究成果

• [雑誌論文] Development of gyrotrons for fusion with power exceeding 1 MW over at wide frequency range (2015)
  • 著者名/発表者名: T. Kariya, T. Imai, R. Minami, T. Numakura, T. Eguchi, T. Kato, Y. Endo, M. Ichimura, T. Shimozuma, S. Kubo, H. Takahashi, Y. Yoshimura, H. Igami, S. Ito, T. Mutoh, K. Sakamoto, H. Idei, H. Zushi, K. Nagasaki, F. Sano, M. Ono, Y. Mitsunaka
  • 雑誌名: Nuclear Fusion 巻: 55 ページ: 093009
  • DOI: 10.1088/0029-5515/55/9/093009
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Development of 28 GHz gyrotron for cooperative ECH study (2015)
  • 著者名/発表者名: T. Kariya, R. Minami, T. Imai, T. Kato, H. Idei, K. Hanada, H. Zushi, T. Numakura, Y. Endo, M. Ichimura
  • 雑誌名: Fusion Science and Technology 巻: 68 ページ: 147-151
  • DOI: 10.13182/FST14-848
  • 査読あり
• [雑誌論文] Design of Mirror Antenna and MW Gyrotron for Control of High Intermittent Heat Flux in GAMMA 10 Tandem Mirror (2015)
  • 著者名/発表者名: R. Minami, T. Imai, T. Kariya, T. Numakura, T. Kato, M. Uehara, R. Goto, K. Tsumura, Y. Endo and M. Ichimura
  • 雑誌名: Fusion Science and Technology 巻: 68 ページ: 142-146
  • DOI: 10.13182/FST14-869
  • 査読あり
• [学会発表] Development of Over 1 MW Gyrotrons and ECH Systems in University of Tsukuba (2015)
  • 著者名/発表者名: R. Minami, T. Kariya, T. Imai, T. Numakura, Y. Endo, Y. Nakashima, T. Shimozuma, S. Kubo, H. Takahashi, Y. Yoshimura, H. Igami, S. Ito, T. Mutoh, K. Sakamoto, Y. Oda, R. Ikeda, K. Takahashi, H. Idei, K. Nagasaki, M. Ono, T. Eguchi and Y. Mitsunaka
  • 学会等名: Japan-Korea Workshop on "Physics and Technology of Heating and Current Drive"
  • 発表場所: 日立シビックセンター（ 茨城県、日立市）
  • 年月日: 2015-12-21 – 2015-12-22
  • 国際学会
• [学会発表] マルチ周波数発振ジャイロトロンのための計算コード開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 沼倉友晴，今井 剛，假家 強，南龍太郎，上原 真，津村康平，江橋優斗，梶野悟史，中嶋洋輔
  • 学会等名: 第32回プラズマ・核融合学会 年会
  • 発表場所: 名古屋大学（ 愛知県、名古屋市）
  • 年月日: 2015-11-24 – 2015-11-27
• [学会発表] 2周波数(28GHz/35GHz)ジャイロトロン用サファイア製ダブルディスク窓の性能評価試験 (2015)
  • 著者名/発表者名: 津村康平, 假家強, 今井剛, 南龍太郎, 沼倉友晴, 上原真, 江橋優斗, 梶野悟史
  • 学会等名: 第32回プラズマ・核融合学会 年会
  • 発表場所: 名古屋大学（ 愛知県、名古屋市）
  • 年月日: 2015-11-24 – 2015-11-27
• [学会発表] Development of Over 1 MW and Multi-Frequency Gyrotrons for Present ST and Fusion Experiments in University of Tsukuba (2015)
  • 著者名/発表者名: R. Minami, T. Kariya, T. Imai, T. Numakura, Y. Endo, M. Ichimura, T. Shimozuma, S. Kubo, H. Takahashi, Y. Yoshimura, H. Igami, S. Ito, T. Mutoh, K. Sakamoto, Y. Oda, R. Ikeda, K. Takahashi, H. Idei, K. Nagasaki, M. Ono, T. Eguchi, Y. Mitsunaka
  • 学会等名: 18th International Spherical Torus Workshop
  • 発表場所: Princeton ( USA )
  • 年月日: 2015-11-03 – 2015-11-05
  • 国際学会
• [学会発表] Development of Over 1 MW and Multi-Frequency Gyrotrons in University of Tsukuba (2015)
  • 著者名/発表者名: R. Minami, T. Kariya, T. Imai, T. Numakura, Y. Endo, M. Ichimura, T. Shimozuma, S. Kubo, H. Takahashi, Y. Yoshimura, H. Igami, S. Ito, T. Mutoh, K. Sakamoto, Y. Oda, R. Ikeda, K. Takahashi, H. Idei, H. Zushi, K. Nagasaki, F. Sano, M. Ono, T. Eguchi, Y. Mitsunaka
  • 学会等名: Workshop on RF Heating Technology of Fusion Plasmas 2015
  • 発表場所: 国際ファッションセンター（ 東京都、墨田区）
  • 年月日: 2015-08-31 – 2015-09-02
  • 国際学会
• [備考] 筑波大学プラズマ研究センター
  • URL: http://www.prc.tsukuba.ac.jp/wp/