研究実績の概要 |
本年度は、ガーネット系を中心として、サンプルの合成、組成および組織分析、光物性、シンチレーション特性の評価を行った。Ce、Pr、Nd 添加した (Y,Gd,Lu)3(Al,Ga)5O12 を検討したところ、Ce 添加 Gd3(Ga,Al)5O12 の特性が最もよく、ガンマ線照射時の発光量は 70000 ph/MeV、蛍光減衰時定数も約 100 ns であった。この理由に関して詳細に調査したところ、マイクロメートルスケールの異相の存在により、そこからエネルギー輸送が円滑に行われているという描像が得られた。二次電子が一種の相中に存在するよりも、幾つかの相に分配されている方が、発光中心までエネルギー輸送される確率が増す可能性があることが示唆される。一方、エネルギー分解能は 662 keV で 10% 程度となった。異相の存在は発光効率は向上させる一方、サンプル全体に及ぶ均一な応答を阻害する為、エネルギー分解能の観点からはよくない模様である。Ce 系以外でも、Pr、Nd 添加ガーネットの検討を行ったが、可視紫外域のシンチレーションに加え、赤外域での発光もかなり強かった。今後は近赤外域での発光強度の定量化が必要である。
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