研究課題/領域番号 |
26249149
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
神谷 富裕 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門高崎量子応用研究所放射線高度利用施設部, 研究主席 (70370385)
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研究分担者 |
鹿田 真一 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 総括研究主幹 (00415689)
加田 渉 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (60589117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダイヤモンド検出器 / 高エネルギーイオン / マイクロビーム / 位置敏感型 |
研究実績の概要 |
医療、宇宙、原子力分野で求められる生物細胞や半導体素子等への局所的イオン照射効果の研究に用いる核子当りMeV を超える高エネルギーイオンの大気中照射において、大気取出し窓兼イオン位置検出器の材料として、機械的強度が高く、可視光透過性があって高耐放射線性半導体としての特性を有するダイヤモンドに着目し、単結晶ダイヤモンド薄膜によるイオン照射に対する高空間分解能・高感度な透過型位置敏感型検出器の実現を目指している。前年度までに科学技術振興機構(JST)の資金を得てクロアチアRuder Boscokovic Institute (RBI)及びフランスCEAの研究者等と本テーマで国際研究者交流を開始しており、その研究協力者の協力を得て作製した5μm の単結晶ダイヤモンド薄膜が大気取り出し窓としても低LET のMeV 陽子でも十分な感度を有する検出器として機能することを確認した。本年度は、これまでの実験の過程で明らかとなったイオンマイクロビームで照射を同じ領域に集中すると現れるポーラリゼーションと呼ばれる一時的な信号劣化現象について結晶中の未知の欠陥準位が原因と考え、これらを系統的に評価するための実験系を原子力機構高崎のイオイン照射施設TIARA及びクロアチア、RBIに整備し、国際研究者交流により主にイオンビーム誘起電荷(Ion Beam Induced Charge: IBIC)あるいはその時間応答(Transient Ion Beam Induced Current: TIBIC)の計測実験を実施した。これらの結果については平成27年度に論文や国際会議において発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、入射イオンの位置敏感検出の予備的な測定を厚膜の検出器を作製して開始する予定であったが、まだその段階には至っていない。その代りにダイヤモンド結晶中の欠陥評価のための実験系の構築及び測定が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に構築した実験系を用いてダイヤモンド結晶中の欠陥について得られる知見は、学術的な価値が高く、検出器以外のデバイス材料として用いる場合についても有用なものと考えられるため、さらに系統的な欠陥評価を継続する。併せて、位置敏感型検出器の設計進めていく。
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