研究課題
記憶や思考を司る脳機能は、神経回路内における神経伝達物質による細胞間の連絡により発現する。この機能を理解するためには、接続部位における神経伝達物質と受容体を同定することが重要である。本研究ではショウジョウバエ脳において神経回路・脳領域レベルでの構成を俯瞰可能な神経伝達物質の地図を作成する。平成26年度は、神経伝達物質の放出及び受容細胞を標識するトランスジェニックライブラリーの樹立を目指し、下記のような成果を得た。1. CRISPR/Cas9を用いた高効率ノックイン・システムの開発我々が開発した高確率で部位特異的変異体を得るシステムを更に発展させた、新規ノックイン・システムの技術開発を行った。設計が簡便なCRISPR/Cas9ヌクレアーゼを応用し、Cas9切断部位に隣接するDNA領域に相同な配列を持った外来遺伝子ベクターをgRNAと同時注入することで、高効率でのノックインを実現した。2. 汎用性の高いノックイン・カセットの開発とライブラリーの作成ゲノム挿入後にトランスジーンの交換が可能なカセットを構築した。また、導入遺伝子を標的遺伝子との融合タンパクとして発現させ、自己切断配列を利用することにより、2つの別個のタンパク質として発現させるノックイン・カセットをデザインした。このカセットを、標的遺伝子の終止コドンの直前にノックインすることで、内在性タンパクの機能を破壊せずに、標的細胞に特異的に導入遺伝子をを発現させることが可能となった。
2: おおむね順調に進展している
予定していた高効率なノックイン技術基盤の確立が順調に進んだ。平成27年度より着手予定であるショウジョウバエ脳の神経伝達物質マップ作成に向けての大きな推進力となった。
昨年度に確立したノックイン技術と系統ライブラリーを活用し、平成27年度は神経伝達物質の放出及び受容細胞を標識するトランスジェニックライブラリーの樹立を目指す。また、標識された細胞の形態学的解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)
Proc Natl Acad Sci U S A.
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