研究課題
記憶や思考を司る脳機能は、神経回路内における神経伝達物質による細胞間の連絡により発現する。この機能を理解するためには、接続部位における神経伝達物質と受容体を同定することが重要である。本研究では、ショウジョウバエ脳において神経回路・脳領域レベルでの構成を俯瞰可能な神経伝達物質の地図を作成する。平成27年度は、神経伝達物質の放出及び受容細胞を標識するノックインショウジョウバエ系統を作成した。・トランスジェニックショウジョウバエ系統ライブラリーの作出CRISPR/Cas9を用いた相同組換えにより、神経伝達物質の合成に関わる酵素、トランスポーター、受容体など、特定遺伝子座へGAL4などの遺伝子ノックインを試みた。そして、内在性遺伝子と同じパターンでトランスジーンを発現するショウジョウバエ系統ライブラリーの作成を推し進めた。ノックインの過程で、導入遺伝子の発現が見られないケースや、ノックイン効率が極めて低いケースが確認されたため、各ノックインにおいて組織的なDNA配列の再検討を行った。広範囲にわたって発現制御領域をカバーするBAC等を用いたGAL4系統などを応用するなどして、再検討によりノックイン手法を改良し、網羅的な遺伝学的リソースを作成した。
3: やや遅れている
遺伝子座によっては、ノックインの過程で低効率などの諸問題が確認されたことを受けて、各ノックインにおいてDNA配列の再検討を行う必要が生じたため、進捗にやや遅れが生じた。
昨年度に樹立したトランスジェニックライブラリーを活用し、各神経伝達物質を放出・受容する細胞の画像データ取得を進めることで、ショウジョウバエ脳の神経伝達物質マップの作成を目指す。
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