研究課題
大脳基底核から視床―大脳皮質への情報伝達様式を調べるため、以下の実験を行った。覚醒下のサルの視床に金属電極を刺入し、単一ニューロン活動の記録を行った。大脳皮質を電気刺激し逆行性応答により、視床―大脳皮質投射ニューロンであることを同定した。次に淡蒼球内節刺激をすると、視床ニューロンに抑制とそれに引き続く興奮が観察された。刺激周波数を50Hz程度に上げていくと、刺激に応じて抑制と興奮が観察され、興奮が増強する傾向にあった。この興奮のメカニズムを探るため、記録と薬物注入ができる電極を用いH電流やカルシウム電流のブロッカーを注入しても、興奮に変化は見られなかった。一方、gabazine (GABA-A受容体のブロッカー)を注入すると、抑制とそれに引き続く興奮も消失することがわかった。これらのことから、淡蒼球内節刺激により視床で観察される抑制と興奮は、GABA-A受容体を介した抑制とリバウンドであることがわかった。また、小脳核を刺激すると、視床ニューロンに興奮とそれに続く抑制を生じる。早い興奮はグルタミン酸のブロッカーで抑制されること、視床の中で淡蒼球内節から入力を受けるものより、より後方に位置することも確認された。
2: おおむね順調に進展している
淡蒼球内節刺激による視床の抑制とそれに引き続く興奮のメカニズムに関して、GABA-A受容体を介した抑制と、それに引き続くリバウンドであることが、明確に証明された。また、リバウンドの機構としては、H電流、カルシウム電流が否定されるなど解明が進んでいる。
淡蒼球内節刺激により視床での効果を調べることができたので、実際の運動の最にどのようになっているのか、運動に際して視床で見られる活動が淡蒼球内節に由来するものか、検索を行う。その最、淡蒼球内節―視床を繰り返しブロックできるよう光遺伝学的手法を応用する予定である。
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